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61・土方side ページ24

「…ったく総悟のヤツ。元気になったかと思えばあれだ…」


「土方さんとお兄さま、本当に仲良しですねー」


「バカ言ってんじゃねーよ」


「ふふっ、」

2人で慣れた見廻り経路を歩く俺とA。



「まあ、アイツも元気になってよかったが。

A、お前こそ大丈夫なのかよ?」

「元気バリバリですよー」

「そうか…」

「はいっ…」


「「…………」」



しばらく会話をするが、なんとも言えない空気が流れ何故かお互い顔を見れない。


だが、

「土方さん…!」「A……!」


「「先にっ…!」」


「ぷっ…!」

「…ククっ!」


「「あははははは!!」」

同時に名前を呼んだ声が重なるとお互い顔を見合せ共に爆笑した。



「名前)」

「はい…?」

「……」

「土方さん、どうかしましたか?」

伝えたいことはあるのに、なかなか言葉が出てこない。



「ま、まァ…その、なんだ………」


しばらく下を向いて口をもごつかせていたが、


「ッ…A、」


意を決して息を吸い込む。


「ちゃんと、帰ってこいよ」


顔を上げ真っ直ぐに目を合わせて微笑むとそう言った。


「ひじか……トシ、」

少し照れたように笑うA。


「うん、行って来ます」

やっと言えた、


"行ってきます" "帰ってこいよ"


色々あって随分遠回りしたけれどやっと言えた大切な言葉。

「無茶して倒れんじゃねーぞ」

「トシも過労死しないように気を付けてね、」

「当たり前だ」


伝えたいことはあるのに、なかなか言葉が出てこない。

思わず手を引いて、俺の腕のなかに小さな体をおさめる。



「最後に……」

「うん…」


やっぱり…俺はAが好きだ。誰よりも愛してる。


だけど、お前の一番笑顔になれる場所はきっと俺の隣じゃない。だから…最後に精一杯の強がりを言おう。



「すげぇ…愛してた…ぜ?」


Aはちゃんと前に進んでる。だから俺も、きちんと過去にけじめをつけて、いつかこの強がりが強がりなんかじゃなくなるように。


「わたしも…愛してた…。」


どちらからともなく離れた身体。


「もう…行くね?」

「ああ……泣かされたらいつでも戻って来いよ。俺が貰ってやるよ。」


「縁起でもない」と笑い、手を降って歩いていくA。俺はその背中を、見送ってから煙草に火を着けた。





「A…愛してる。ちゃんと元気に帰ってこいよ。」


夏の終わりの昼過ぎ。気持ちのいい風が頬を撫でた。

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海子(プロフ) - めっちゃ泣きました!特に45話くらいからやばかったです!これからも頑張ってください! (2017年4月1日 5時) (レス) id: 83ea04ee11 (このIDを非表示/違反報告)
りん(プロフ) - まだ読み途中なんですが、めっちゃ泣けました。これからも応援してます!! (2017年3月13日 23時) (レス) id: 473a281676 (このIDを非表示/違反報告)
あつぽん(プロフ) - りんごさん» ありがとうございます!大人向け大丈夫でしたか?(笑)これからも頑張りますので、どうぞ応援よろしくお願いいたします (2016年8月25日 15時) (レス) id: 3134e8bca3 (このIDを非表示/違反報告)
りんご - 最後の方とても…えろかったです…笑 なんかすごい大人な感じのお話でドキドキします笑 (2016年7月29日 2時) (レス) id: 0e09e5e967 (このIDを非表示/違反報告)
あつぽん(プロフ) - ロックマウンテンさん» 早速のコメントありがとうございます!喜びのあまりにやにやがとまりません(笑)神威君、大活躍ですよー!これからも楽しんでいただけると嬉しいです♪ (2016年6月28日 15時) (レス) id: df8f2d9e4c (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:あつぽん | 作成日時:2016年1月16日 16時

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