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60・あなたside ページ23

「この部屋ともしばらくお別れかー…」


荷物を纏めて玄関へ行くと、立っていたのは息を乱したお兄さま。


「A!間に合ってよかった!」

「お兄さま!京に出張じゃなかったんですか!?」

「近藤さんが見送りに行くって、聞かねーからねィ」

「…近藤さんが?」

訳が分からずに黙っていると、

「Aちゃァァァんッ!」

慌ただしく駆け込んできた、近藤さんと山崎君。

「っ…近藤さん!山崎君も!」


「月一で帰って来るのに、Aは本当皆に愛されてやすねィ。」


いつもみたいに飄々と笑うが、その額には汗が滲んでいて、急いで帰ってきてくれたことが伺える。


「お兄さまも…でしょ?」

いたずらっぽく問うと、ニヤリと笑うお兄さま。


「勿論でさァ、まだ嫁には出しやせんぜ」


そして四人で門の方へ向かう。

「それにしても、トシはこんなときまで仕事だなんてな!」

「仕方ないですよ。それに仕事が貯まってるのは半分くらいわたしのせいだもの…」

「いや、昨日沖田隊長が爆破した建物についての始末書じゃないかと…」

「おいザキ、いい度胸でさァ」

「ひっ!」


そしてまた他愛ない話を続けながら歩いているとあっという間に見えてきた門。



「Aちゃん、元気で過ごしてくださいね」

「女の子はからだ冷やしちゃいかんぞ!」

「ちゃんと飯食いなせェよ」


立ち止まり一度その姿を見上げていたAは、


「うん!」

にこりと笑うと3人に軽く頷く。


「では。一番隊副隊長、沖田A、行って参ります!」

敬礼をして、気合いを入れて門を開くと…



「お?」

「ぁ…!」

目の前には、門の隣の壁にもたれて煙草を吸うトシの姿。

「エッ…どーいう、」

余りにも突然だったため驚き固まるA。


「……うわ、不審者が居まさァ。」

予想していたらしいお兄さまはニヤニヤと笑っている。

「副長…ひょっとしてずっと門で待って…」


「いや、これはだな、」

山崎くんが驚いた様子で問いかけると、トシは慌てた様子で口を開く。

「ドン引きですぜ、土方さん。」

「総悟、お前なァ、」

お兄さまのいつもの煽りにピキリと青筋を立てながらも、優しくわたしの手を引いて歩き始めるトシ。

「おい…A、そこまで送る。」

「えっ、あっ、うん」


始めこそ驚いていたが、なんだか懐かしい気持ちになって自然と笑みがこぼれてしまう。


「あ、この道、」


そうだ。昔、よく一緒に歩いた見廻り経路だ。

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海子(プロフ) - めっちゃ泣きました!特に45話くらいからやばかったです!これからも頑張ってください! (2017年4月1日 5時) (レス) id: 83ea04ee11 (このIDを非表示/違反報告)
りん(プロフ) - まだ読み途中なんですが、めっちゃ泣けました。これからも応援してます!! (2017年3月13日 23時) (レス) id: 473a281676 (このIDを非表示/違反報告)
あつぽん(プロフ) - りんごさん» ありがとうございます!大人向け大丈夫でしたか?(笑)これからも頑張りますので、どうぞ応援よろしくお願いいたします (2016年8月25日 15時) (レス) id: 3134e8bca3 (このIDを非表示/違反報告)
りんご - 最後の方とても…えろかったです…笑 なんかすごい大人な感じのお話でドキドキします笑 (2016年7月29日 2時) (レス) id: 0e09e5e967 (このIDを非表示/違反報告)
あつぽん(プロフ) - ロックマウンテンさん» 早速のコメントありがとうございます!喜びのあまりにやにやがとまりません(笑)神威君、大活躍ですよー!これからも楽しんでいただけると嬉しいです♪ (2016年6月28日 15時) (レス) id: df8f2d9e4c (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:あつぽん | 作成日時:2016年1月16日 16時

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