50・土方side ページ13
「あーあ、副長がサボりなんていけやせんぜ。」
「っ…総悟、どうして、」
「ま、俺も土方さんの様子がおかしくて心配でしたんで、途中で帰ってきたんですけどねィ。」
冷めた目で見る総悟。
「それに、高杉は自首でもしに来たんですかィ?それなら大歓迎でさァ。」
「ッ…言うじゃねェか、クソガキが…」
その発せられた言葉に各々の目が鋭くなる。
「ただいま、A。」
総悟はそんな俺たちをものともせず、軽快なリズムで、畳に座り込むAの元に行く
そして─
「…!?」
機嫌良さそうに笑ってAの頬を持つと唇を重ねた
「っは…A、イイ子にしてやしたか?」
「んっ…、そーご、だいすき。」
尚も機械的に繰り返すA。
「総悟てめェ…いい加減にしねェか!」
声を荒げる俺。
「ッ…沖田君、そろそろ悪ふざけのレベル超えてんじゃねーの」
厳しい表情で総悟を睨み付ける万事屋。
そして、
「…」
今にも斬りかかりそうな高杉。
総悟はAをそっと手離し、立ち上がって俺と目線を合わせると、
「自分の為に一度は見捨てたクセに。次は自分の罪悪感を拭うために守ってるんですかぃ?」
吐き捨てるように言う。
「な…ッ!」
俺は眼を大きく見開く。
一番触れられたくない部分。
一番誤魔化していた己の罪。
「人っていうのはつくづく汚い生き物だよなァ。」
総悟は言葉を失った俺に笑った。
「あんたらだって今俺を悪者扱いして"助けにきた"みたいな顔してるけど…早い話、Aが欲しいだけじゃねぇか」
そう、よく考えてみろ
「あんたらは、自らが傷付かない道を選んだゆえに、Aを手離したはずだろ?」
心底楽しそうにそう言った総悟はやがて高杉達の方に目線を向け、
「その証拠にAは俺の元へ戻ってきた。」
一番言ってやりたい人物へと言葉を続ける。
「今のあんたらも所詮Aに対しての欲だけだ。」
我が物顔でAを奪いにきた邪魔な男。
どうしていつまでもこんな奴にAを奪われたままの気分でいなきゃならないんだと、総悟の眼に憎しみの色が宿る。
「あんたらも所詮Aが欲しいだけでさぁ。」
そう最後に告げた沖田の顔からはいつのまにか笑顔が消えゾクッとするような冷たい目でたちを見ていた。
「……それがそんなにわりー事か?」
そんな中、ザッと畳が擦れる音と共に部屋の中にポツリとした小さな声が響き渡った。
それは今まで黙って聞いていた高杉の声。
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海子(プロフ) - めっちゃ泣きました!特に45話くらいからやばかったです!これからも頑張ってください! (2017年4月1日 5時) (レス) id: 83ea04ee11 (このIDを非表示/違反報告)
りん(プロフ) - まだ読み途中なんですが、めっちゃ泣けました。これからも応援してます!! (2017年3月13日 23時) (レス) id: 473a281676 (このIDを非表示/違反報告)
あつぽん(プロフ) - りんごさん» ありがとうございます!大人向け大丈夫でしたか?(笑)これからも頑張りますので、どうぞ応援よろしくお願いいたします (2016年8月25日 15時) (レス) id: 3134e8bca3 (このIDを非表示/違反報告)
りんご - 最後の方とても…えろかったです…笑 なんかすごい大人な感じのお話でドキドキします笑 (2016年7月29日 2時) (レス) id: 0e09e5e967 (このIDを非表示/違反報告)
あつぽん(プロフ) - ロックマウンテンさん» 早速のコメントありがとうございます!喜びのあまりにやにやがとまりません(笑)神威君、大活躍ですよー!これからも楽しんでいただけると嬉しいです♪ (2016年6月28日 15時) (レス) id: df8f2d9e4c (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:あつぽん | 作成日時:2016年1月16日 16時