にゃーちゃんのストラップと謎の六人 ページ12
そういうとカガリは、音もなく溶けるように消えた。消える瞬間にふわりと花のようないい香りと6冊の本を残して。どうなってるのか分からないが、6冊はカガリが消えた後もそこに重なって浮かんでいた。
「行っちゃった．．．」
「なあスー！早く読もうぜ」
「うん．．．じゃあ、読もっか。」
うーん、このままずっと男として生きていかないといけないのかな．．．だとしたらもっと男っぽくしないといけないのか。まあ、お姉ちゃん達と遊んでる時にいっつもやってたから別に大丈夫かな。
そういえば、お姉ちゃん達大丈夫かな？寂しがってないのかな？それにゆうちゃんとまた遊ぼうねって言ったっけ．．．みくちゃんも一緒に寂しがってないかな．．．お母さんとお父さん、怒らないかな。スー、いつ帰ってこれるんだろう。
いいや、これは自分で選んだ事だからやらなくちゃ。
それに、一人じゃない。だいちゃんもいる。こんなところでめそめそしてちゃいけない。それにスー達がやらないと、たくさんの人が困る。
よく見ると本は6巻あるわけではなく、上、中、下の3巻が2冊ずつあった。
私達は1冊ずつ手に取ると、だいちゃんはその場に座って読み始めた。私、いや、俺も隣に座ろうと地面に手をついたとき、ゴリっという音がして手に痛みが走った。
「ッ！？」
そのまま俺は尻餅をつき、無様にひっくり返った。
「どうした！？スー！！」
「だ、大丈夫．．．」
背負っていたリュックのおかげでなんとか頭を打たずに済んだ。
慌てて起き上がり、手をついた所を見ると、なんと幽霊に盗られた筈のにゃーちゃんのストラップが転がっていた。
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作者名：海神（かいと） | 作成日時：2019年5月20日 9時
