エンマのお兄様！？第2弾【妖怪ウォッチ】

兄が23人 ページ27

noside

無邪気で明るく純粋だった少し前のAとは別人の様に

毎日部屋に篭って勉強。たまに出てきたと思えば訓練場でひたすら術の稽古。

先代がやめろと言えばそれに従いやめ、そして部屋に戻る。

そんな彼の生活、無表情、無感情な所を見て、周りは口々に言った。

"まるで人形の様な王家の面汚し"と。

そして、父親には会いに行かない子であった。誰にも甘えなかった。

だが、そんな彼が父に会いに行く時は、ただ一つしか理由がなかった。

貴「ｺﾝｺﾝｯ)親父、入るぞ。」

2代目「あぁ、入れ。」

貴「ｶﾞﾁｬ)早速だが、母さんについて教えろ。」

2代目「仮にも父に向かって、随分だなぁ。」

貴「………俺の目の前であんな事をしておいて、慕われると思ってんの？

民の為に働けても、好きな女一人守れねぇんじゃ話になんねぇよ。」

正妻「A様、2代目様のお気持ちも((貴「皆して親父に加担するな。

別に今更気にしねぇけど。

だが、目の前で母さんを奪われた俺の気持ちはどうなんだよ。」ｯ!!」

2代目「出て行けA。お前に鬼覚について教える事は何も無い。」

貴「あと数ヶ月しか持たねぇんだ。言えよ。」

あの時からAは母の血を引き継いで、見える様になった。

母の様に過去とまではいかない。母の様に未来とまでは言わない。

ただ相手の感情、思考、今の状態から過去や未来の予測は出来るようになった。

2代目「……言えん。」

貴「ﾁｯ、そうかよ。」

それだけ言って出て行ったA。今のAにはただ強くなり

ただ賢くなり、先代に王の座を譲ってもらう事だけが望みだった。

そのAが唯一本音で話せる相手が

貴「邪魔するぞ、咲枝。」

咲枝「いらっしゃいA様。今店を閉めますから、少しお待ち下さい。」

貴「あぁ、いつもすまねぇ。」

咲枝「親友の愛息子の頼みです、聞かない訳にはいきませんわ(ﾆｺｯ」

貴「ん。」

天使神華玉咲枝、元は生華の神。Aは母に1度だけここに連れられて来た事があった。

その時に仲良くなり、性別まで教えてもらったのだ。

だからAは咲枝が男である事は知っている。

そして母が居なくなった時から溜まった怒りや不満

この先の不安等を聞いてもらいにここには夜な夜な来ていた。

昼間に出歩いてここを知られたくはなかった。奪われるかもしれないからと。

咲枝「それで？今日はどうなされたの？」

貴「弟が産まれた。」

咲枝「………それで？」

貴「俺は、王にはなれない。」

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