お隣の吉留さんは。

021号室 ページ22

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暑い。ただただ暑い。



夏はどっちかというとかなり苦手だ。

年がら年中汗っかき人間にとってはこの日差しの強さと太陽のサンサン照りつける感じはもう天敵でしかない。

焼けることよりも、敵は、汗だ。






「え、すごいやん。全然誰かわからんけど」

「やろうな。まあ最近はもう慣れてもうてるねんけどな」

「えーでもなんかいいなあ、私も隣KENTAさんがいいわあ」

「いやそれは普通にやばい」

「やばいか(笑)」






……まあでも。



フェス、来ちゃいました。

なんて言ったらまた目をまんまるくして驚くんだろうな。それか「嘘つき」なんて言って全然信じてくれないかもしれないけど。



吉留さんが結局ポストに入れておいてくれたフォーリミのおそらく昔発売していたのであろうデザインのTシャツを見て、そんなことを考える。





「それかわいいやん」

「な、かわいいやろ？」

「柊っぽい」

「わかる。自分でも思うもん。かわいい」






まあでもTシャツはテレンのやつとちょっと迷ったんだけどな。

タオルはもちろん最推し感覚ピエ ロに決まっている。







「にしてもすっごい人やな〜。どこ見ても人、人、人！」

「そらそやろ。何を今更驚いてんねん」

「いやあバンドってすごいわほんま。で、最初なに見んの？」

「あーなに見よか」

「感エ ロとフレデリックとフォーリミとオーラルとテレンは見たいな、あ、あとビーバーも！」

「いやいっぺんに言うな！そんで感エ ロ以外知らん」

「いやそんなことないやろ！適当言うなよー」






でもやっぱり、フォーリミがどのバンドよりも楽しみだったりするのはどう誤魔化したって間違いがない。



こんな灼熱地獄の中、あなたはいったいどんなパフォーマンスを魅せてくれるんだろうね。

そしてどれだけの人の、体を、心を、脳みそを、グラグラ揺らすんだろう。






「あー暑い。暑いぜ〜夏フェス〜！」







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