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「ぶっ、先輩マジですか!ポートマフィアに捕まったんですか!マヌケも大概にしてくださいよ!」
プリンを食べる彼女の前に座り、例のポートマフィアに囚われた件をちょろっと話せばこの有様だ。
もう彼女に馬鹿にされる事は恒例であり、気にならない。むしろこう言う時の彼女は楽しそうで、見ていて飽きない。
「間抜けなAに言われたくないよ」
「私のどこがマヌケだって言うんですか!
ちゃんと先輩の分の仕事だって…」
「A、すまんがこの資料の記入欄がずれている。今日中に修正してくれ。」
タイミングがいいのか悪いのか、ちょうどさっき彼女が済ませたはずの書類の間違いを指摘されてふくれっ面をした。
いじけた姿も愛らしく、つい虐めたくなってしまう。
「…で、私の分の仕事がなんだって?」
「………い、意地悪しないでください!」
可愛らしく顔を赤くして、Aは私から逃げるように空のプリンの器を片手にいそいそと捨てに行ってしまった。
コンビニまでプリンを買いに行った甲斐があった。
なんてしみじみと思いながら私はデスクに戻った。
私が仕事のデスクに戻って数秒。
「あ、先輩!さっきのプリンいくらでした?」
Aはわがままを言う割に律儀で、こう言うお金はきっちり返そうとする。
それに何か少しでも手伝ったり助け舟を出したりすれば後で必ずお礼をしようとするのだ。
律儀で真面目で頑固なところは唯一容姿に沿うと言えるかもしれない。
「…いらないよ」
「まだ何も言ってませんけど」
「たかが数百円くらい返さなくていいって」
「じゃあ先輩の今日のお仕事お手伝いします!」
名案だと言わんばかりの嬉々とした様子で言うAに言葉が詰まる。
彼女に負担をかけたくは無いが、この「どうだ!」と言わんばかりの顔を前に断るのも心苦しい。
こんな女子高生1人の言動に振り回されてしまう私も私だが、この子も大概罪な女だ。
「じゃあ此処に接吻してくれたら午後も頑張れるなぁ」
頬を指差して言った。
出来心で、少しからかうつもりだった。
顔を赤くするのか、はたまた暴言を吐かれるのか。
もしかしたら笑うかもしれない。
どれでも構わない。新しい表情が観れるのならそれでいいのだ。
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紅月天音(プロフ) - 霊夢どうふさん» ありがとうございます!!更新は遅いですが、お話の質は落とさないようにしていきたいと思います! (2018年7月26日 13時) (レス) id: 0e524395ac (このIDを非表示/違反報告)
霊夢どうふ - 芥川さんが多い上に描写がふつくしすぎる!更新頑張って下さい! (2018年7月26日 1時) (レス) id: 8add41b466 (このIDを非表示/違反報告)
紅月天音(プロフ) - ワッさん+aさん» 素敵な感想をありがとうございます!!今後も期待に応えられるようにお話を作れたらいいなと思いますので、よろしくお願いします! (2018年3月31日 12時) (レス) id: 0e524395ac (このIDを非表示/違反報告)
ワッさん+a(プロフ) - 背景と、主人公の心情の移り変わりがとても細かく書かれていて素敵です!!!! 惚れました!!!!之からも楽しみにしています!!!! 更新頑張って下さい!!! (2018年3月30日 21時) (レス) id: 0cdcac71cf (このIDを非表示/違反報告)
紅月天音(プロフ) - 紫猫日和さん» 大変長らくお待たせいたしました!すみません、芥川sideは難しくて中々筆が進まず…!ようやく完成いたしました!リクエストありがとうございました!またお気軽にどうぞ! (2018年1月24日 17時) (レス) id: 0e524395ac (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:紅月天音 | 作成日時:2017年10月16日 17時