25話 ページ25
…………
人殺し？意味が分からねぇ……。なんのことだ？
すると、愛桜はこちらに歩いてきて俺の隣で止まった
『……左馬刻、お前だけは絶対に許さない(ヒソ』
そう言い残し、彼女は中王区の扉へ向かい再び歩き始めた
「中王区なんかの下につくな…………行かないでくれ……!!」
『……!!』
？なんだろ、この気持ち………
＊〜＊〜＊〜＊
「どうした、愛桜。こんな所にずっといたら風邪を引くぞ」
言の葉党のビルの屋上で壁の外を眺めていると、無花果様がやってきた。心配してくださるなんて、優しい方だな。
『…無花果様、あの男は本当に私の母を殺して父を可笑しくしたのでしょうか？』
「………あぁ。残念ながら真実だ。証拠を揉み消したようだがしっかりとこちらに残っている……見るか？」
『…………いえ、結構です。』
だってみたら他の嫌なことも思い出してしまうから
「もう遅い。風呂に入ってゆっくり休むのだぞ」
そう言い優しく頬を撫でてくれる無花果様を私はただじっと見つめることしかできなかった
＊…＊…＊…＊
『ふぅ……。』
さっぱりした。お風呂も気持ち良かったし、何よりバブルバスにバラの花弁が浮かんでいてとても癒された
天蓋付きの円の形のベットにベビードールを着て寝転んで、目をつむった
私が、中王区偵察局撃退隊局長…………ね。でもどうして私なんかにそんな大役を？
それに碧棺左馬刻のあの様子……本当にアイツが犯人なの？…………!!
『ぐっ！…………頭が……痛い!!』
急に頭が割れるようにズキズキと痛み始める。私は頭を抱えた
そしてその瞬間、脳裏に謎の光景が現れた
＊・＊・＊
《愛桜……》
＊・＊・＊
『…っは!……………………さま、と、き？…………きゃ!!』
あの男の名前を口にした瞬間、ギシ、とベットが軋む音と共に視界が何かによって塞がれた
すると、ぐらりと目眩のような感覚を感じると共に体に甘い毒のような痺れを感じて意識が段々朦朧としてきた
「真実を知る必要はない。”純粋な君”は甘い夢でも視ていればいいさ……」
彼女に見えないように目を塞いだもう片方の手で起動していたマイクを握り直し彼女の頬を撫でた
「……泣いてる。安心しろ、君が今知っている”真実”は真実ではないからな」
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作者名：＊ビターチェリー＊ | 作成日時：2019年10月19日 19時
