４３． ページ44
新幹線の席はくじ引きで決めたのだが、なんとミラクルラッキーで、俺とグルッペンは隣の席だった。これについてもまわりにめちゃくちゃからかわれたが、ここまで来たら開きなおってやる。単純にうれしくもあったし。
「うわー、やべーな、新幹線なんかはじめて乗る」
旅行なんか修学旅行以外でしたことがなく、中学までは目的地までバスだったので、新幹線に乗ったのはこれがはじめてだった。臆面もなくはしゃぐ俺を、グルッペンはあくびしながら横目でみている。眠いんだろうか。
「俺は中学で乗ったな」
「そうなんだ。乗り口ってこんなんなってんだなー。なんかさー、近未来って感じしねえ？ ちょっとしたSFみたいだ」
「そうだな」
「あっ、動き出した！」
思っていたより音はしなかった。静音仕様なのだろうか？ ただ、それなりに衝撃……というかこれはたぶん、G──加速度といったほうがわかりやすいか──というやつか。それがかかっているような気がする。つまり、それだけ速いってことだ。Gがかかるほど速度のある乗りものに乗ったことなんかない俺は、いよいよテンションが上がりまくってしまう。
「いやー、やべーよ！ めちゃくちゃ速い！ おい、外すげーぞグルッペン！」
「そうだな」
「うわー、景色がもう、みえねえ。すぐ線になっちまう……。夜だったらもっとすげーだろうな。ほら、夜道の信号みたいにさ。車乗ってるときにみえるような」
「そうだな……」
「……おい、グルッペン？」
グルッペンの返事があまりに味気ないので、気になって隣をみると、グルッペンは肘置きに肘をついて、うつらうつらしていた。眠そうという印象はばっちり当たっていたらしい。よくみればその目もとにはくまがあった。
寝不足なんだろうか。修学旅行だってのに。
「……眠い。寝かせろ」
「えーなんでだよ。旅はもうはじまってんだぞ？ ちょっとくらいつき合えよー！」
「あとで好きなだけつき合ってやる……」
グルッペンは消え入るような語尾でそういって、秒で寝入ってしまった。こりゃだめだ。一度寝入ってしまった人間を叩き起こすほどの無体はさすがにできず、俺はおとなしく席に座りなおして、なんとはなしに窓の外をみた。ひとりでみていると、さっきはあれだけ新鮮にみえた不思議な景色も、あんまりおもしろくはない。
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エス(プロフ) - ミオさん» いや私も書きながら「かわいいな……」と思ってました……（真顔）。ありがとうございます！続編もよかったらよろしくお願いいたします！ (2019年10月21日 22時) (
レス) id: 59009a1e5b (このIDを非表示/違反報告)
エス(プロフ) - 豆鳩さん» ありがとうございます＞＜ｗｗｗ高校生らしいお話書けていたらいいな！と思うので天使といっていただけてうれしいです！高校生って天使のようなかわいさ！ (2019年10月21日 22時) (レス) id: 59009a1e5b (このIDを非表示/違反報告)
エス(プロフ) - ロアさん» ありがとうございます！ｗｗｗしかと受け止めました！！ (2019年10月21日 22時) (レス) id: 59009a1e5b (このIDを非表示/違反報告)
エス(プロフ) - 浅葱さん» わーありがとうございます！！grだけでなく主人公までかわいがっていただけてありがたい限りです……！続編に移行しましたので、よかったらそちらもよろしくお願いします！ (2019年10月21日 22時) (レス) id: 59009a1e5b (このIDを非表示/違反報告)
ミオ - グル氏可愛いなぁ..!続き待ってます！ (2019年10月21日 21時) (レス) id: 4083773df2 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：エス | 作成日時：2019年10月20日 2時
