４４． ページ45
せっかくの旅行なんだから、睡眠くらいバッチリ取ってこいよ。八つ当たりっぽくそう思ってから、でも、楽しみなことがあると眠りが浅くなるというやつはそういえば少なくないんだったな、ということに気づく。
……グルッペンももしかしたら、旅行が楽しみすぎて、うまく眠れなかったのかもしれない。
そう考えたら、なんだか妙に気恥ずかしくなって、俺は窓際の肘置きに肘をついてうつむいた。誰もみてはいないが、なんとなく左手で顔を隠すようにおおう。たぶん俺、今めっちゃ顔赤いだろうな。グルッペンが寝ていてよかったと思う。
＊
なんだかんだで気づけば俺も寝入ってしまった。タイミングの悪いところで起こされ眠気の引かない俺を、気持ちよく寝て気分爽快のグルッペンが「ホラ早く行くぞ！」と元気よく引きずる。いつもとはまるっきり逆だ。そのようすがおもしろいのか、遠くのほうから小泉が「かたなしだな下山ー！」と茶化してきた。うるせーっつの。睡眠欲に勝てる人間なんか存在しねーんだよ。
予定通り、新幹線から降りたら全員集められて、クラスごとに全体行動だ。とはいっても好きなやつとかたまっていていいから、実質自由行動みたいなもんである。俺たちは例のごとく白石、小泉と合流して、四人でかたまった。全体行動のあいだはガイドさんがいてくれて、観光地の歴史について流暢に説明してくれる。キレイなおねえさんの雄弁な語りにときおり茶々を入れてクラスの笑いを買いながら、観光はのんびりと進んだ。
「いやー、全体行動も悪くはないけど、やっぱ先生がいないほうが落ちつくわ」
悪いことをしたいわけではないが、それでもやはりお目つけ役がいるのといないのとでは心理的な楽さが全然違う。自由行動になった瞬間、伸びをしながら俺がそういうと、グルッペンが「やっぱ窮屈だよな」とこたえてくれる。
「じゃ、行くかー。最初は○○市の△△寺だっけ？ こっからだと……」
「──下山。グルッペン。こっちはいくらでもつじつま合わせてやるから、ふたりで好きなとこ行ってこい」
俺の言葉をさえぎって小泉がそんなことをいうので、俺とグルッペンはそろって目を丸くしてしまった。
「な、なんで？」
「さすがに、こんな機会に邪魔立てするほど無神経じゃないよ」
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エス(プロフ) - ミオさん» いや私も書きながら「かわいいな……」と思ってました……（真顔）。ありがとうございます！続編もよかったらよろしくお願いいたします！ (2019年10月21日 22時) (
レス) id: 59009a1e5b (このIDを非表示/違反報告)
エス(プロフ) - 豆鳩さん» ありがとうございます＞＜ｗｗｗ高校生らしいお話書けていたらいいな！と思うので天使といっていただけてうれしいです！高校生って天使のようなかわいさ！ (2019年10月21日 22時) (レス) id: 59009a1e5b (このIDを非表示/違反報告)
エス(プロフ) - ロアさん» ありがとうございます！ｗｗｗしかと受け止めました！！ (2019年10月21日 22時) (レス) id: 59009a1e5b (このIDを非表示/違反報告)
エス(プロフ) - 浅葱さん» わーありがとうございます！！grだけでなく主人公までかわいがっていただけてありがたい限りです……！続編に移行しましたので、よかったらそちらもよろしくお願いします！ (2019年10月21日 22時) (レス) id: 59009a1e5b (このIDを非表示/違反報告)
ミオ - グル氏可愛いなぁ..!続き待ってます！ (2019年10月21日 21時) (レス) id: 4083773df2 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：エス | 作成日時：2019年10月20日 2時
