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〜Aside〜
目が覚めた時には見慣れた自室にいた。あの後土方さんに抱えられて地球に帰ってきたんだ。
A「神威…」
そう呟いた愛しい人の名前は部屋の中に静かに消えていった。その直後、両親が部屋に入ってきた。
父「起きたか」
母「春雨に誘拐されるなんて手間かけさせて。それにお母さんたちの顔に泥を塗るなんて」
父「まぁ西園寺さんとの婚約は破棄されなかったんだからいいじゃないか」
母「まぁそうね」
この人達は何を言っているの…?この会話に戸惑っていると次の瞬間、父が私の背筋を凍らした。
父「ところで、神威ってなんだ?」
父親たちが入ってきたのは呟いた後で、聞こえてるわけないのにどうして。
母「誰だか分からないけどそんな男なんて一ノ瀬家に相応しくないんだから」
父「まぁそれもそうだな。あんな汚らわしい兎」
汚らわしい兎…。なぜあったことも無い人を侮辱するの?
そして部屋の時計が鳴り響いた。
母「あら、もう西園寺さんがお見えになる頃だわ。A着付けをするからこっちへ来なさい」
そう母親に手首を捕まれたが急いで叩く。
A「触らないで!神威は汚らわしい兎なんかじゃないし結婚もしない!ここから出して!」
母「親に反抗するなんて、自分の立場をわきまえなさい」
そう言われた瞬間、母親に左頬を叩かれる。母親の指に幾つものリングがはめられており、普段叩かれるよりは痛みが増しているだろう。その痛みと自分の不甲斐なさに流したくもない涙が溢れ出す。
父「母さん、Aは春雨に洗脳されてしまったのだよ。Aが僕たちに反抗なんてする訳ないじゃないか」
母「そうよね、!この子はなんか薬を飲まされたんだわ!」
父「そうだ。明日から精神科医を家に招こう」
そういい私を置いて部屋を出ていく。
父「A、僕達から逃げられると思うなよ」
そう一言残して。
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作者名:m | 作成日時:2023年5月4日 15時