第103話 Kiss ページ7
*
貴「三ツ谷ゴメン！」
三「気にすんな
積もる話できたろ？」
貴「できたけど！寒かったでしょ！？」
三「はは、大丈夫だって」
貴「本当にごめん…夢中になっちゃって…」
謝りながら三ツ谷に温かいお茶を渡す。
それを受け取り、彼は手の暖を取る。
私の手は先程までお茶を持っていたお陰かまだ温もりがあった。
三ツ谷の両頬を手で触れる。
貴「うわっ、冷た！」
雪のように冷たい三ツ谷の頬。
こんなになるまで待っててくれていたなんて。
本当に申し訳ないと彼の顔を見ると私の手に頬を擦り寄せて幸せそうに微笑んでいた。
三「Aの手あったけぇ…」
貴「ッ、」
こんな三ツ谷の顔初めて見た。
甘えられているような、むず痒い感じ。
ただこれはレアだと目に焼きつけるように見つめていると、その視線に気づいたのか彼は私から目線を逸らす。
三「そんなに見られっと恥ずい…」
貴「あ、ごめん
三ツ谷が可愛く見えて…」
三「なんだそれ」
貴「私だけの特権、みたいな？」
三「……オマエほんと…」
貴「なに、」
ふいに自身の唇に冷たいモノが触れる。
三ツ谷の頬を触っていた両手は空を切っていて、触っていたはずの三ツ谷の顔は私の吐息がかかるぐらい近くにある。
───キス、された。
そう理解出来たのは数秒遅れたあとだった。
全身の熱が顔に集中するが分かる。
わなわなと震えていると彼は笑う。
三「悪い、我慢できなかったワ」
貴「ん、な、ななな…！」
三「ふはッ、戸惑いすぎ
先に聞いた方が良かったか？」
貴「それはそれで緊張する！！」
真っ赤な顔を隠すように三ツ谷に抱き着く。
寒かった身体は溶けそうなぐらい熱を持っている。
そんな私とは正反対に余裕そうな彼を見て対抗心を燃やしてしまった。
貴「……タカちゃんの意地悪」
千冬から教わった少女漫画によくあるふいに名前を呼ばれて胸キュンシーン。
八戒の真似をして呼んでみるが彼からの反応はない。
その数秒後三ツ谷から声があがる。
三「───…もっかい」
貴「へ？」
三「もう1回呼んでほしい」
そう言う三ツ谷の顔はまた赤くなっていて。
それは寒さからではないとすぐわかった。
どうしようもなく愛おしくて。
病院の駐輪場で大好きな彼の名前を呼ぶ。
貴「……好きだよ、タカちゃん」
その後、三ツ谷が八戒がチラつくので"タカ"が良いと提案してきたのは笑ってしまった。
*
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てる。 - 初コメ失礼しました！最初は恋愛系かな？？と思っていて読んでいたらバリバリの感動系で深夜に声を上げて泣いてしまいました(T ^ T) (2023年4月11日 0時) (
レス) @page3 id: 01aa01ae14 (このIDを非表示/違反報告)
ルイ - 更新楽しみに待ってます。泣 (2022年11月20日 22時) (レス) @page31 id: e007552609 (このIDを非表示/違反報告)
はむはむ(プロフ) - 更新楽しみにしております。 (2022年11月16日 12時) (レス) @page31 id: 9534e4617e (このIDを非表示/違反報告)
湯豆腐 - この小説大好きですっ！！もうめちゃくちゃ感動できます！！更新楽しみにしてまーす！ (2022年5月25日 19時) (レス) @page31 id: 8d5c2ab10a (このIDを非表示/違反報告)
no_(プロフ) - この作品がとても大好きです。更新されるまで待ってます。 (2022年5月15日 17時) (レス) id: c80cd65ba9 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：あたた | 作成日時：2021年9月25日 18時
