第102話 Benefactor ページ6
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貴「こんにちは」
鶴「……アンタか」
あれから数日後、私は横浜市立病院に足を運んだ。
三ツ谷の後ろに乗ってきたのだが、彼はどこまでも気が利く彼氏で外で待ってるからゆっくり話してこいと見送ってくれた。
鶴「なんでオレを助けた？」
貴「私が助けたかったから
キミの為じゃない。文句ある？」
鶴「は、そういうところイザナに似てるな」
貴「そりゃ兄妹だからね」
いいところのお菓子の詰め合わせを鶴蝶に渡し、横に置いてある丸椅子に座る。その様子を見てこいつまだ居座る気かと少し驚いている鶴蝶。文句あるか？？？
貴「キミを助けたのはイザナの話聞きたかったから
…私の知らないお兄ちゃんの話聞かせてくれない？」
鶴「……長くなるぞ」
貴「うん、聞かせてほしい」
鶴蝶はため息をついて遠くを見ながらぽつりぽつりと話し始めた。
大きな傷のせいか施設でもイジメられていた鶴蝶。
誰も近付こうとしなかったという。
親を事故で亡くした彼は幼いなりに両親の墓を土で作っていた時にイザナに出会った。兄はそれを足で蹴り、問答無用で壊した。
"オレの下僕として生きろ"と。
その日死のうとしていた鶴蝶に生きる理由をくれた。
ある雪の日カマクラをオレらの国の城として身寄りのない奴らを国民にして居場所にすると、天竺としていい時代を創ると話した事。
その他イザナのぶっ飛んだ話も色々聞いた。
夢中で聞いていると気付けば1時間程経っていて、外で待っている三ツ谷の存在を思い出す。
貴「じゃあそろそろ行くね
話してくれてありがと」
鶴「……礼を言わねぇといけないのはオレの方だ」
貴「え？」
鶴「ありがとな、命の恩人」
貴「……大袈裟
私が手当しなくても鶴蝶は生きてたよ」
またねと手を振って病室を出ると少しだけ口角を上げてまたなと返してくれた。それがなんだか嬉しくて帰る足取りも軽かった。
病院の外に出るとぶわりと冷たい空気が身体の体温を一気に奪う。
待って、こんな中三ツ谷を1時間も待たせてたの？
近くにあった自販機で温かいお茶を買って走ってバイクの駐輪場へ向かう。
駐輪場に着くとバイクに寄り掛かりながら携帯をいじっている三ツ谷の姿。
足音で気付いたのか私と目が合う。
その顔は鼻と耳まで赤くなっていた。
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てる。 - 初コメ失礼しました！最初は恋愛系かな？？と思っていて読んでいたらバリバリの感動系で深夜に声を上げて泣いてしまいました(T ^ T) (2023年4月11日 0時) (
レス) @page3 id: 01aa01ae14 (このIDを非表示/違反報告)
ルイ - 更新楽しみに待ってます。泣 (2022年11月20日 22時) (レス) @page31 id: e007552609 (このIDを非表示/違反報告)
はむはむ(プロフ) - 更新楽しみにしております。 (2022年11月16日 12時) (レス) @page31 id: 9534e4617e (このIDを非表示/違反報告)
湯豆腐 - この小説大好きですっ！！もうめちゃくちゃ感動できます！！更新楽しみにしてまーす！ (2022年5月25日 19時) (レス) @page31 id: 8d5c2ab10a (このIDを非表示/違反報告)
no_(プロフ) - この作品がとても大好きです。更新されるまで待ってます。 (2022年5月15日 17時) (レス) id: c80cd65ba9 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：あたた | 作成日時：2021年9月25日 18時
