【十鬼の絆】～旋律唄～ (ページ43)

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第四十話ページ43

雪奈side

雪奈｢でも、私も彼女に何とか協力を願うよう、頼みますので心配しないで下さい。何としてでも皆を説得して、考えを改めてもらいます。・・・人間との関わりを絶たせます｣

その言葉に、姫は目を細めて微笑んでくれる

千羽｢ありがとう、雪奈。あなたならそう言ってくれると思っていたわ｣

姫の安堵したような表情を目にして、私は気持ちを引き締める
私をこれだけ信頼してくれているのだから、その信頼に応えなくては

千羽｢それから、あなたにもう一つ、お願いしたいことがあるの｣
雪奈｢はい、何でしょう？｣

私は姫の頼みに耳を傾ける

千羽｢明日、私の下に来客があるのだけど・・・その者が到着したら、誰にも知らせずに私の部屋へ通して欲しいの｣
雪奈｢爺様方にもですか？｣
千羽｢ええ、あなたにしか頼めないの。他の者に頼むと、色々と誤解される恐れがあるから｣

その来客というのが誰なのか、そして、なぜ他の者に明かしてはいけないのかは気にかかるけど・・・
姫が何の意味もなくこんな命令を下すとは思えない。やむにやまれぬ事情があるのだろう

雪奈｢分かりました、お約束します｣

その返事を聞いて、姫は目を細めて微笑みを浮かべてくれる

千羽｢ありがとう、雪奈｣
雪奈｢いえ、お礼を言っていただくほどの事ではありません。・・それでは、私は部屋に戻ります。姫もそろそろお休みください｣
千羽｢ええ、そうするわ。それじゃ、お休みなさい｣

私は姫に一礼した後、姫の居室を後にした

※

Aside

外を出てからしばらくたった頃

A｢よし、これ描いたら終わりだ！｣

ようやく仕事を終えて紙を揃えていた
すると、ふと千耶殿の顔が過る
あの時の彼の表情は優れていなかった

A(何か不愉快な話でも聞かされたんだろう)

不愉快な話にあることを思い出す

千羽『人間が引き起こした争乱に巻き込まれて、頭領たちの誰かが近いうちに命を落とす夢を見たのよ』

姫様が言った言葉が脳裏に甦った
もしかしたら、千耶殿は人間と関わりが？

A｢いや、止めておこう｣

疑っても真実は明らかにならない
だけど、もしそうだったら皆は彼のことを信じられるのか？

A｢なら、この力を使えば・・・｣

自分の耳にそっと触れる
力を使えばすぐに誰が人間と関わりを持っているのか分かる
だが・・・

A｢・・・っ！｣

私は耳から手を離した
すると急に手が震え出す

A｢どうして私はいつも・・・！｣

震える拳を強く握り締めた