【十鬼の絆】～旋律唄～ (ページ20)

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第十七話ページ20

雪奈side

千歳が顔をしかめながら恐る恐る後ろを振り返ると、そこにはーー

？｢よう、千歳、千耶。久しぶりだ、元気だったか｣

二十代後半と思われる齢の男性が立っていた
鍛え抜かれた鋼のような体躯に、意志の強そうな眼光
かなりの使い手だということが見てとれる

千耶｢千岳か・・・久しいな。俺は元気だ｣
千岳｢そうか。そいつはよかった。・・・って、おい、千歳！なんで逃げようとしてる！？｣

千耶の後ろに隠れて、その場から立ち去ろうとした千歳に声がかかった

千岳｢お前らここに着いた早々、この娘相手に大人気ない真似をしたらしいな？｣
千歳｢待てって。どうしてさっきの事がこんなに早くばれちまってるんだよ！｣
琴浦爺｢さあ～、どうしてじゃろうのう？壁に耳あり障子に目あり、というからの｣

琴爺はわざとらしく笑っている
さては・・・

千歳｢答えにもなってねえって！そもそもさっきの場所には、壁も障子もなかっただろうが！｣
千耶｢俺は、千歳の誘いに乗っただけだ。責任は全て、かの者にある｣
千歳｢何だよ、裏切るのか！？お前だって、やる気満々だったじゃねえか！｣
千岳｢そういう反応をするって事は、叱られるような真似をしたって自覚はちゃんとあるんだな。そいつは結構ーーって事で｣

ゴチン！

千歳・千耶｢ぐっーー！｣

千岳さんという男性は拳を固め、千歳と千耶の頭を一発ずつ殴りつけた

千歳｢ってえ・・・！何なんだよこりゃ！｣
千耶｢・・・千歳はともかく、俺まで殴られるのは納得いかんぞ｣

二人は納得のいかない顔をしている

千岳｢じゃあ、納得できるように説明してやる。誘ったのは千歳かもしれないが、それに乗った責任はあるだろ？いくら手合わせとはいえ女相手に二人がかりで挑むなんて、みっともないと思わないのか｣
千歳｢いや、それはその・・・。こいつは女だが、一族の頭領でもあるわけだし・・・｣

千歳は言い訳するようだが

汐見爺｢やむにやまれぬ事情があるわけでもないのに、同族に刀を向けるのは褒められたことではないぞ｣

汐爺も千岳さんという方の意見に賛同した

千岳｢まあ、力があり余ってるんならちょうどいい。後でじっくり揉んでやるから覚悟しとけ｣
千歳｢いや待てよ！お前の馬鹿力と一緒にするなって！｣

悔しそうに歯噛みする千歳を横目で見たあと、千岳さんというその方は、静かにこちらを振り返る