【十鬼の絆】～旋律唄～ (ページ18)

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第十五話ページ18

Aside

お互いの自己紹介を終えた後、姉さんは私に再び厳しい視線を送った

雪奈｢それより絢華、汐爺から文が届いたはずなのに何で八角堂に来なかったの？｣
A｢うっ・・・｣

姉さんの目線が怖い・・・
そりゃそうだよね、汐見爺様から文までのお呼び出しを無視して、ここでのんびりしてたものだから

雪奈｢絵の仕事で忙しいのは分かってるけど、今回は代わりの護衛のあなたまで呼ばれるほどの大事なことなのよ｣
A｢はい・・・反省してます｣

謝るしかなかった
どうしても生真面目な姉さんのお叱りは免れない

千歳｢それより爺さんたち待たしてんだし、早く戻ろうぜ｣

私達の会話を切り出してくれたのは千歳殿だった

雪奈｢そうですね。絢華、早く道具を片付けなさい｣
A｢言われなくても分かってますよ！｣

私は急いで道具を風呂敷に詰め込んで姉さんたちの後を追った
無視したのが悪かったな・・・

千耶｢おい｣
A｢ん？｣

すると突然、隣を歩いていた千耶殿が私に声をかけてきた
姉さんと同じく、無駄に真面目そうだなこの人

A｢あー分かってますよ。どうせお叱りの言葉を発するんでしょうね｣
千耶｢いや、叱りたいのは山々だが｣
A｢じゃあ、何ですか？｣

私は彼を横目で見上げる

千耶｢先程の剣の捌き、見事だった｣
A｢えっ・・・｣

急に千耶殿は私の剣の腕を褒めた

千耶｢特に相手にスキを作らない姿勢がよくできていた｣
A｢ど、どうも・・・｣
千耶｢だが、少し腰に力が入りすぎだ。このままだと、いざという時にすぐに動けんから気をつけろ｣
A｢・・・心得ときます｣

何なんだよもう・・・
ここまで来て剣術について語られると気持ちが萎えるよ・・・

千歳｢おい、お前ら早くしろよ！｣

少し離れた所から千歳殿の声が飛んでくる

千耶｢言われなくても分かってる｣

千耶殿は私より先に早足で姉さんたちの後を追った

A(はあ・・・今日はついてないな)

憩いの場で気分よく歌ってる最中に急に襲われてその挙句、絵を踏まれるやら姉さんには叱られる、それに今日は一番触れたくない剣術のことについて注意されるとか・・・外にでなければ良かった

千歳｢絢華、何やってんだよ！置いてくぞ！｣
A｢・・・今行きますよ｣

うんざりしながらも私も千歳殿たちに続いた