私の名は[救世主]【転生したらスライムだった件】 (ページ44)

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90話ページ44

心を躍らせながら、私は洞窟に足を運ぶ。

怪しまれないために、胃袋から以前獲った獲物も用意した。

『たっだいまぁー！旨そうな牛鹿獲って来たよー！』

分身2「香草や薬草も、一応取ってきました....」

声も変換済みだ。

分身1「お、おかえりー。」

うんうん。分身達、見事な演技っぷりだね。

分身1号の記憶を通して、トカゲ達の日常はリサーチ済みだ。

加えて私、演技にはそれなりの自信がある。恐らくすぐにはバレないだろう。

レザール「早かったわね。それじゃアヤちゃん、手伝ってくれる？」

分身2「はい.....」

分身2号がレザールの方へ向かう。ちなみに、キッチンは既に分身が作っている。

『あれ、私は？』

少しでもサウラーらしさを出すために、自分を指さして聞いてみる。

レザール「....自分の分だけ作るならいいけど？」

返って来たのは、警戒の念。

分身の記憶によると、サウラーもシオンに負けず劣らずのダークマター製造者だったからね。

それを食べたグルウェルが、私と同じ[毒耐性]を得たらしいし。

『....やめときまーす....』

空気を読んで、諦めよう。

料理はできるけど、出来たら逆に怪しまれる。

....料理というものが何か、今度サウラーにきっちり教える必要があるだろう。

『ケンゲ！暇だから！遊ぼ！！』

ケンゲ「鍛錬しろ」

『うっ』

ケンゲ「皆、この洞窟を住みやすい場所へと変えようと日々励んでいるんだぞ？

それなのに貴様は......雷にでも打たれて、その脳内にある花畑を全て焼き払ってこい！」

『っすんません！！』

ケンゲに思いっきり怒鳴られて、私は思わず謝ってしまった。

これ、後でバレたら失望されるかもしれない。別の意味で怖い。

いや、だって、迫力凄いんだもん！

というかあいつ、働いてなかったのかよ！！

私だって色々手伝ってるんだぞ？あいつめ.....

ふつふつと怒りが湧き上がってくる。

私はそれを吐き出すように、分身達に思念を伝達した。

(なぁ、分身達.....帰ったらサウラーに仕事をプレゼントしようと思うんだが...どうかな？)

分身1・2((賛成。))

満場一致で決定。

覚えてろよ、サウラー。働かざる者食うべからずだ。

ケンゲ「....だがまぁ、腕っぷしはそれなりだからな。お前は。」

『えへへ、そうですかぁ～？ケンゲに褒められるとは、少し意外ですね！』

ケンゲ「馬鹿者が。調子に乗るな。」

『うぐっ...』

“馬鹿者”っていう単語はやめようか、ケンゲ君.....