私の名は[救世主]【転生したらスライムだった件】 (ページ41)

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87話ページ41

食堂へ行くと、嬉しそうな笑みを浮かべるシオンと、この世の終わりのような表情を浮かべる

ベニマルがいた。

どうしたのだろう？とベニマルの前に置かれている皿の中を見て、私は言葉を失った。

　

彼の視線の先には、真っ黒の謎物質―――何か憑いてないか？―――があった。

ちょっと意味が分からない。

　

....これは.....スープなの、だろうか....？

　

いや、絶対違う。少なくとも、あんな禍々しいスープ、普通は食べない。

触らぬ神に祟りなし。私は、その場を後にしようとドアへと向き直る。

だが、時は既に遅かった。

　

ベニマル「...あ、おい、Aじゃないか！

確かAはまだ、シオンの手料理を食べたことなかったよな？

Aだけ味わえないのは可哀想だし、シオン、これはあいつにやってみたらどうだ？」

　

何、だと....ベニマル貴様ぁーーッ！！！

　

今すぐにでも逃げ出したかったが、シオンの目はしっかりと私を捕らえている。

逃げられない。

　

シオン「...それもそうですね。喜べA、特別に食べさせてやろう！」

　

いやいやいやいや、大丈夫です！！

　

シオン「遠慮する必要はない。さ、食べてみろ！」

ズイッと、シオンに皿とスプーンを押し付けられる。

恨みがましくベニマルを見ると、ベニマルも安堵と罪悪感が混ざったような顔で私を見ていた。

テメェのせいだぞ、おい！！

どうして異世界まで来て、暗黒物質(ダークマター)を口にしなければならないのか。

結衣の手料理も大概だったけど、これは酷すぎる。闇鍋なんじゃないの？

だが、期待感でいっぱいのシオンの目を見ると、どうしても断れない。

....仕方ない。不味い料理は結衣で食べ慣れてるし、ちょっとくらい大丈夫だろ。

私は意を決し、スプーンでスープを一口分掬って、口に入れた。

　

うぐッ....ううぅぅぅぅぅ.....うぅぅうううぅぅぅぅう。

　

吐きそう。

目がくらんできた。

叫ばなかった自分を褒めてやりたい。

　

あ...何か、遠くに川が見える.....

　

《確認しました。[毒耐性]を獲得.....成功しました。》

　

世界の言葉が聞こえた途端、体が楽になった。

毒て....まあいいや、助かった！

　

《続けて、ユニークスキル[馬鹿者(オロカナルモノ)]を獲得.....成功しました。》

ちょっ、何でそうなるの！？

私、そんな馬鹿な事してなくね！？