私の名は[救世主]【転生したらスライムだった件】 (ページ4)

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51話ページ4

警戒し、剣を構えるリグル。

余裕そうに、悠然と立つリムル。

さて....

始めようか！なんてかっこつけたけど、目的はリグルの訓練だからな。主に、黒狼の召喚。

リムルとは戦いたいけど、教える側としてはリムルばかりを狙うのはよくない。

いや、あえて狙い、リグルが応援を呼ぶように仕向けるのもアリか？

...ナシだな。リムルが焦るほどの攻撃は、それこそ[黒炎]や[黒雷]を使うことになる。

武器を創造するのは論外だし、黒狼が一匹増えたぐらいじゃどうにもならないだろう。

回避には使えそうだから、やはりリグルを狙うのが最善か。

そうと決まれば....

私は鎌を肩に担ぎ、リグルに目配せする。

リグル「！」

察しのいいリグルなら、すぐに意図をつかんでくれるだろう。

リムルがキョトンとしているが、君を狙う気はないのだよ。

かかってくるなら相手はするが、本筋を見失う気はないのだから。

あれ？私って結構状況判断上手くね？

戦場なら、指揮官になれるかもしれない。絶対やりたくないけど。

疾走するリグル。

食料調達を担うだけあり、その動きは速い。

だが、それだけだ。

―――キィンッ

互いの刃がぶつかり合い、耳障りな金属音が響く。

本来、私に避ける必要などないのだが.....そこは優しさというものだ。

リムルの出方をうかがいながら、私はリグルの剣をはじく。

[魔力感知]って便利。それでなくても、[熱源感知]とか色々あるけど。

リムル「.....」

いまだに微動だにしないリムル。

いや、そろそろ動いてお願いだから。

私は喋れないんだよ？戦闘開始の合図も、挑発も出来ないんだよ？

そっちから来てくれないと困るんだ！！

チェパロ(A様ー、僕、洞窟で迷子になっちゃいましたぁ....)

知るかッ！！

お前には聞いてないわ！！

(何してんの？自分の家で迷うとか、相当なバカだよ？)

仮にも戦闘中なので、集中を乱したくない。

チェパロには悪いが、優しい言い方をするなんて言う細かいことは今できないのだ。

チェパロ(で、でも...僕、今までもよく迷ってたんです....)

(なら、そこでじっとしてろ。いずれ、レザールとラケルタが見つけに来るだろ。

私は今、忙しいんだ。邪魔をするな。)

チェパロ(は、はい....)

おどおどとしたまま、チェパロは思念伝達を切る。

言いすぎたかもしれない。が、甘やかしすぎるのもダメなのだ。