34話 ページ36
『!』
リグルからの[思念伝達]だ。
正体がバレるので返信できないのが痛いところだが、話しかけてくれるのは嬉しい。
それにしても、カイジンの新作かー。
てっきりロングソードしか作らないと思っていたが、他も一応作るようだ。
....気になるな。
『クレアさん、カイジンが新作の武器を作ったって。
もうすぐ夕刻だし、帰ろうか?』
[救世主]さんに聞いたところ、現在の時刻は午後四時五十七分。
五時近くなので、リグル達はとうに村へ帰っているのだろう。
クレアさんも話し込んで疲れただろうし、早く休んだほうがいいと思うのだ。
ところが、
クレア「ううん....私はいい」
私の誘いは、あっさりと断られてしまった。
そして、また表情を曇らせるクレアさん。
それは私に怒鳴ったときと同じ、助けを求めるすがるような目だった。
『で、でも、お腹空いたでしょ?』
クレア「いいえ.....だって、もう必要ないもの」
『え?そんなこと言ってたら、ガリガリになっちゃうよ?
私牛鹿の燻製肉持ってるし、良かったら――』
クレア「A」
私の言葉を遮り、クレアさんは短く言い放つ。
声が大きいわけでも泣いてるわけでもないのに、何故かその声は心の奥底まで響いた。
クレア「お願いがあるの。
これは...貴方にしか、頼めないわ。」
心臓なんてない。胸騒ぎなんてするはずないのに、私の中の何かが嫌な予感を感じ取った。
『....何?』
正直、聞きたくない。
そんな重い願い、私に背負わせないでほしい。
だが、どう止めればいいか、わからなかった。
クレア「私を....殺してほしい。」
*
その場には数秒間、静寂が訪れた。
私はこちらをまっすぐに見てくるクレアさんから目をそらし、確認とばかりに聞いた。
『....本気で言ってるの?』
クレア「うん」
『リムル達に知れたら....私どうなるかわからないんだけど』
クレア「リグルドさんに、今日森を出発するって伝えてある。大丈夫だよ。」
『.....データスは?あのままでいいの?』
クレア「...よくはないけど....貴方に任せる」
『....』
『.....逃げるの?』
クレア「....違う。
だって貴方、自分が思っているより優しいもの。
私が自分で死んだとしても、きっと叶えてくれるんでしょう?私の願い。」
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レミパチャ5号(プロフ) - 一之瀬神夜さん» マジですか(*‘∀‘)そう言われたのは初めてです(笑) (2019年1月21日 8時) (レス) id: a04d07692e (このIDを非表示/違反報告)
一之瀬神夜 - 男主がよかったぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!← 嘘です!女の子でも神です!頑張ってください! (2019年1月19日 21時) (レス) id: 5f454c6783 (このIDを非表示/違反報告)
彼岸(プロフ) - レミパチャ5号さん» こちらこそ受け入れてくださってありがとうございます。楽しみにしています(´∀`) (2018年12月21日 22時) (レス) id: 7384ff990e (このIDを非表示/違反報告)
レミパチャ5号(プロフ) - 彼岸さん» 誤字がありました。すみません。 (2018年12月21日 17時) (レス) id: a04d07692e (このIDを非表示/違反報告)
レミパチャ5号(プロフ) - 彼岸さん» 謝る必要はありまませんよ、むしろ助かりました。3日以内に変更しようと思います。ご指摘ありがとうございました。 (2018年12月21日 17時) (レス) id: a04d07692e (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:remipatya | 作者ホームページ:http://201511kb
作成日時:2018年6月21日 21時