矛盾したスキル【転生したらスライムだった件】

14話 ページ16

ムシャムシャ...


うん、味しない！！



リムル「シズさんだっけ。アンタも苦労したんじゃないのか？


巨大妖蟻(ジャイアントアント)の戦いじゃ炎を操ってたけど、あれはこっちに来るとき

望んで得た力なのか？」



え、シズさんの能力って炎の操作？

何それかっこいい！！



シズ「...いいえ、違う。炎は、私にとって呪いだから。」


リムル「どういうことだ？」



リムルが問いかけると、シズさんは仮面を取った。

その顔は、一言で言えば美人だった。



そして―――シズさんは語りだす。



もはや目の前の能天気な人達は無視でいいだろう。



シズ「私が元の世界で最後に見た光景は、辺り一面の炎。

とても怖い音が鳴り響く中、住み慣れた町は紅蓮に染まっていた。」



....炎と轟音....空襲か？



リムル「もしかして、空襲か？」


リムルは、私と同じ答えに至ったようだ。



シズ「多分、そう。東京大空襲って言われてるんでしょ？

私の教え子....その子も日本出身なんだけど、歴史の授業で習ったらしいね。」



あぁー、習った習った。懐かしい。



え？待てよ....東京大空襲といえば、1945年の3月10日の空襲を指すことが多い。

少なくとも、70年近く経ってるわけで.....シズさん今、何歳？


この世界では、人間の寿命も延びるのか？



リムル「そうか、それで転生してこっちの世界に...」

シズ「ううん、私は死んでないよ」



えっ！？



シズ「ある男に召還されたの。

でも男が本当に召還したかったのは別の誰かだったみたいで、とても落胆した様子だった。」



召還って....そんな悪魔みたいな。

いやこの世界、何でもありか。



シズ「だからすぐに私への興味を失ったようだったけど、

ふとした気紛れからか、彼は私に炎の精霊を憑依させた。


それは炎を操る力をくれたけど....同時に呪いでもあったの。


この力....この炎のせいで―――私は大切な人達を失ってしまったから。



だからかな。人と親しくするのは少し怖かったんだけど、

やっぱり仲間っていいね。最後の旅で楽しい人達と出会えたもの。


彼等はお互いを信頼してるし、遠慮なく喧嘩もするし。」



そうですね、今丁度肉をめぐる醜い争いをなさってます。

って、ふざける場面じゃないね。



シズ「いい冒険者だよ。ちょっと危なっかしいけどね。

彼女も.....そんな人と出会えたらいいんだけど。」


リムル「彼女――？」




バサッ


？「皆さん...！！」

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