彼女3 ページ43
あ「……また、会いたいな…。」
今、私には心の拠り所となっている人がいる。それは、アカデミー在籍時代に一度だけ、講師として来た男性。名前は、平子丈先生だったかな。私だって年頃の女だ。恋くらいする。
平子先生は、いつも無表情で、淡々としていて…顔だって特にイケメンだとかではないのだけれど、どうしてか私の心をときめかせた。あの、無表情を崩したい。どんな顔をして愛しい人に愛を囁くのだろう。最初はただの好奇心だったかもしれない。けど、今になってすごく、その無表情が愛おしく感じた。
あ「まあ…こんな私が人並みに恋なんて、出来ないけれど。」
だけど、明日を生きる活力にはなる。密かに想うことくらい、許してくれたっていいでしょう？
こんな私が、まさか本当に、あの…平子丈と恋に落ちるだなんて。この頃の私は想像してもいなかった。
私と丈の馴れ初めは、みんなもう知っているかもしれないけど、喰種に襲われる私を、丈が助けてくれたことからだ。あの日の私は、心底任務に嫌気がさしていて、心から疲れ切っていた。任務を終えて、帰路に着く道すがら、喰種に襲われた。もう、何もかもがどうでも良くて、いっそここで死んでしまえば楽になれるかもしれない。そんな考えまでよぎったくらいだ。
そうだ。ここで助けを呼んで、誰かが助けに来てくれたなら、私はまた明日から頑張ろう。もし誰も来なかったら…おとなしくここで死んでしまおう。そんな賭けをして、私は助けを呼んだ。
結果、私は丈に助けられたのだけれど。
2人が恋に落ちるのに時間はかからなかった。私はもともと彼のことを好きだったし、丈も私に何かを感じてくれたみたいだ。
ーー今思えば、これを運命と呼ぶんだろうな。
丈の無表情は相変わらずだったけれど、少しだけ表情が緩む時もあった。それがとても可愛くて、愛おしくて。これからあと、どのくらいの時間を丈と過ごしていけるかは分からない。けど、残された時間を大事に生きよう。そんな風に思えるくらいには、私の心は前を向いていた。
丈との時間を愛おしく感じるほどに、私は今の仕事をするのが嫌だと感じるようになった。
こんな、誰にも言えないような後ろ暗いことばかりして、奪うだけの行為にいつしか慣れてしまった自分。こんな私のままじゃ、丈に愛してもらう資格がない。
少しずつ任務を断るようになって、そこから……私の歯車は狂いだしたんだ。
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駄郎(プロフ) - すごく心が痛くなりました(´；Д；`)めっちゃ切ない作品、、、素敵でした、、、(＞＜) (2018年5月28日 1時) (
レス) id: d57e5a8b8d (このIDを非表示/違反報告)
歯磨き粉(プロフ) - とても嬉しいです！ありがとうございます！この後どうしていこうか思案中なので更新待っていて下さい！頑張ります！ (2016年7月27日 21時) (レス) id: dae8dd9e10 (このIDを非表示/違反報告)
かなり。(プロフ) - 最高です！！感情の表現がすごく細かくて尊敬します！！応援しています！ (2016年7月27日 21時) (レス) id: 681ac572b8 (このIDを非表示/違反報告)
歯磨き粉(プロフ) - 意見ありがとうございます！確かに詰め込んでる感はありますので、改善していきます。 (2016年3月29日 21時) (レス) id: dae8dd9e10 (このIDを非表示/違反報告)
ハイキューって神だよね。 - 少しぎゅうぎゅうで読みづらいです。もう少し間が空いていると読みやすいです。無理言ってすみません。更新がんばってね。 (2016年3月18日 12時) (レス) id: 3186d38158 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：歯磨き粉 | 作成日時：2016年3月10日 23時
