37話 ページ38
しかし…
決着は一瞬でついた。
暴食が俺のクインケを奪い、その刃を自らの腹に突き立てたのだ。
平子「なっ…！？」
暴食「ガハッ…！！いっ……てェ…！！」
暴食の、血飛沫がAの墓石に飛び散って朱色に染まる。俺はただ呆然とその瞬間を見ているだけだった。
平子「お前……何、してるんだ…」
暴食「……っ…これ…で、終わり…だ。全部……せいせい…した、だろ…？」
平子「ふざけるなっ！こんな終わり方で…誰が納得出来るかっ！！お前だけだろ…こんなの…。なぜ俺に殺させない！？」
暴食「ははっ……すげー…ムカつくっしょ。俺は……平…子ちゃん、の…記憶に…残りてェ…の。俺の…こと、一生恨んで…生きてけ……よ…。」
そう言って、暴食は死んだ。意味が分からない。こんな後味の悪い終わり方があってたまるか…！俺は結局、何一つ成し遂げていないじゃないか。
平子「なんなんだ…。A…俺は…。」
真っ赤に染まった墓前の前に崩れ落ちる。俺が望んだ結末は、こんなはずじゃなかったのに。
どれだけ時間が経ったかわからなかった。気付いたら辺りはもう真っ暗で。
倉元「丈さん！」
遠くで倉元の声がした。
平子「倉元…」
倉元「丈さん！よかった！無事だったんですね！？暴食は、倒したんですか！？」
平子「倒す……？」
倉元「なんでそんなに放心状態なんです！？」
平子「俺は…」
そうだ。俺は、暴食を倒していない。仇を討つことすら、許してもらえなかった。
平子「暴食は…自害、した。俺は何も…していない。……何も、出来なかった。」
倉元「丈さん…。とりあえず、帰りましょう？暴食の死体は移送車を手配しますから、とにかく丈さんは休んで下さい。」
平子「…ああ、すまない。」
その後の記憶は、あまりない。言われるがまま倉元とともに帰って、そして、深い眠りについた。再び起きた時には、すでにあれから1週間が過ぎていた。倉元の話だと意識が混濁し、高熱を出したそうだ。
倉元「丈さん、良かった。もう起きないのかと思いました。」
平子「……夢を、見たんだ。」
倉元「夢？」
平子「Aが、笑ってる夢。久々に見たな…。俺はAに何か、してやれてたんだろうか。貰うものはたくさんあった。俺は、何をあげられたんだろう。」
今となっては分からない。Aの為に何か出来ることはもう、何一つ残っていない。
…俺は何の為に明日を生きる？
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駄郎(プロフ) - すごく心が痛くなりました(´；Д；`)めっちゃ切ない作品、、、素敵でした、、、(＞＜) (2018年5月28日 1時) (
レス) id: d57e5a8b8d (このIDを非表示/違反報告)
歯磨き粉(プロフ) - とても嬉しいです！ありがとうございます！この後どうしていこうか思案中なので更新待っていて下さい！頑張ります！ (2016年7月27日 21時) (レス) id: dae8dd9e10 (このIDを非表示/違反報告)
かなり。(プロフ) - 最高です！！感情の表現がすごく細かくて尊敬します！！応援しています！ (2016年7月27日 21時) (レス) id: 681ac572b8 (このIDを非表示/違反報告)
歯磨き粉(プロフ) - 意見ありがとうございます！確かに詰め込んでる感はありますので、改善していきます。 (2016年3月29日 21時) (レス) id: dae8dd9e10 (このIDを非表示/違反報告)
ハイキューって神だよね。 - 少しぎゅうぎゅうで読みづらいです。もう少し間が空いていると読みやすいです。無理言ってすみません。更新がんばってね。 (2016年3月18日 12時) (レス) id: 3186d38158 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：歯磨き粉 | 作成日時：2016年3月10日 23時
