検索窓
今日:5 hit、昨日:10 hit、合計:18,068 hit

29話 ページ30

局長「…その様子だと、君は本当に行き詰まっているみたいだな。」


平子「だからこうしてあなたに頼んでいるんです。人の心があるのなら、私の気持ちも理解できるでしょう?」


局長「そうだな…。君の気持ちは痛いほどわかるよ。私だって鬼じゃない。…だが、話せないこともある。君が何を言おうと、ね。」


平子「なぜです!?私は彼女がなぜ死んだのか、それだけを知りたいんです。他のことはどうだっていい!どうしてそれだけのことが叶わないのですか!?」


局長「話すことはない。それだけだ。分かってくれ。私は君に失望したくない。…さあ、そのさSDカードだけ置いて、早く出て行きなさい。」


平子「話せないのであれば、これをお渡しすることは出来ません。」


局長「ハァ…。君は馬鹿か?そのSDカードにそれほどの価値はない。彼女も言っていなかったかい?9月30日を過ぎていたなら、それは捨ててくれ、と。所詮その程度のものなのだよ。渡したくないのであれば、捨ててくれればそれでいい。私は何も困らないからね。無論、処分に困るのであれば受け取ってもいいがね。」


平子「…っ!!」


最早これまでなのだろうか。本当に何も分からないまま、全てが終わってしまうのか?
しかし…本当にこのSDカードには価値がないのか?ならばいつ渡したっていいはずじゃないか。この日でなければ意味のないものなのならば、局長はこれを今、この瞬間、どうしても欲しいはずだ。ならば。


平子「…では、これは捨てさせていただきます。失礼しました。」


賭けだった。本当に捨ててしまっていいと思っているのなら、俺はここで全てを失うことになる。





局長「…平子君。」


部屋を出ようとした瞬間、声が掛かった。俺の、勝ちだ。


平子「何でしょうか。」


局長「私の負けだ。それが君の手にある以上、私は君に従わなければいけないようだね。ただ、全ては話せない。なぜなら私も、全てを知っているわけではないからね。…それでもいいかね。」


嘘をついている様子はない。局長すら、全てを知らないとは…どれほどAの闇は深いのだろうか。


平子「分かりました。局長が知っていることを話して下さい。それからこれはお渡しします。」


局長「全く…君が知ったとしても一つもいいことなんてないんだけどね。」


平子「覚悟はできています。本当の彼女を知りたい。それが今の私の、全てです。」

30話→←28話



目次へ作品を作る感想を書く
他の作品を探す

おもしろ度を投票
( ← 頑張って!面白い!→ )

点数: 9.3/10 (23 票)

この小説をお気に入り追加 (しおり) 登録すれば後で更新された順に見れます
12人がお気に入り
設定タグ:東京喰種 , 平子丈 , 歯磨き粉
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告

感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)

ニックネーム: 感想:  ログイン

駄郎(プロフ) - すごく心が痛くなりました(´;Д;`)めっちゃ切ない作品、、、素敵でした、、、(><) (2018年5月28日 1時) (レス) id: d57e5a8b8d (このIDを非表示/違反報告)
歯磨き粉(プロフ) - とても嬉しいです!ありがとうございます!この後どうしていこうか思案中なので更新待っていて下さい!頑張ります! (2016年7月27日 21時) (レス) id: dae8dd9e10 (このIDを非表示/違反報告)
かなり。(プロフ) - 最高です!!感情の表現がすごく細かくて尊敬します!!応援しています! (2016年7月27日 21時) (レス) id: 681ac572b8 (このIDを非表示/違反報告)
歯磨き粉(プロフ) - 意見ありがとうございます!確かに詰め込んでる感はありますので、改善していきます。 (2016年3月29日 21時) (レス) id: dae8dd9e10 (このIDを非表示/違反報告)
ハイキューって神だよね。 - 少しぎゅうぎゅうで読みづらいです。もう少し間が空いていると読みやすいです。無理言ってすみません。更新がんばってね。 (2016年3月18日 12時) (レス) id: 3186d38158 (このIDを非表示/違反報告)

作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ

作者名:歯磨き粉 | 作成日時:2016年3月10日 23時

パスワード: (注) 他の人が作った物への荒らし行為は犯罪です。
発覚した場合、即刻通報します。