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13話 ページ14

Aがいなくなってから、俺は眠れなくなった。空が白んできた頃にようやく、浅い眠りにつく。眠るといつもAが夢に現れる。ずっと、Aの事ばかり考えているからだろう。その夢は、いつも妙にリアルで、唯一、Aと会話できる場所だ。今日もまた、浅い眠りにつくと、Aが1人、佇んでいた。

あ「丈は、しつこいね。私のことは忘れてって言ってるのに、毎日…私を夢に呼ぶんだから。」
少し困ったように、でもどこか嬉しそうに笑いながら言う。

平子「俺はお前を忘れたりしない。他の誰かを、好きになったりしない。というか、出来ない。お前の存在が大きすぎて。愛しすぎて。」

あ「もう…。でも、その気持ちは嬉しいよ。私も本当は、丈を誰かに取られたくないから。だけど…私じゃ丈を幸せには出来ないから。だから涙をのんで、忘れていいよって言ってるんだよ?この気持ち、わかって欲しいな。」

平子「お前を忘れたら、俺は俺じゃなくなる。そんなの嫌だ。この手で抱きしめられないのも、温もりを感じられないのも、正直辛いけど、お前を忘れることの方がもっと辛い。」

あ「ふふっ…なんだかこそばゆいなあ。こんなに人に愛されてるなんてさ、私最高に幸せ者だよね!」

平子「俺も、こんな愛しい気持ちを知れたことが、すごく幸せだ。A…俺はそんなに頼りなかったか?お前の抱えてるもの、全部背負うつもりでいたのに。」

あ「前に私、悲しみとか、辛いこととか…2人で分け合えば大したことないって言ったよね。今でもそれは、間違ってないと思う。けどね、本当に愛してるからこそ、分け合いたくない苦しみもあるの。丈には、感じて欲しくない痛み、辛さ、苦しみ。私1人でいいの。こんな思いを、する人は。だからね、私の死の真相とか私を殺した喰種を探すとか、そういうことはやめて欲しい。そんなこと、私は望んでないから。」

平子「俺は、何も知らずに1人のうのうと生きていくことなんかできない!お前がやり遂げたかったことを必ず調べ上げて、俺の手で成し遂げると決めたんだ。」

あ「丈の分からず屋。忘れてって言っても、やめてって言っても、全然聞いてくれないんだから。私の過去なんて知ったら後悔するだけだよ?」

平子「分からず屋で結構。お前の過去がどんなものであろうと受け止めてやる。俺の器の大きさ、バカにするな。」

あ「あーもう!勝手にして下さい!……丈、愛してる。死なないで。」
彼女の頬を伝う一筋の涙が忘れられない。

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駄郎(プロフ) - すごく心が痛くなりました(´;Д;`)めっちゃ切ない作品、、、素敵でした、、、(><) (2018年5月28日 1時) (レス) id: d57e5a8b8d (このIDを非表示/違反報告)
歯磨き粉(プロフ) - とても嬉しいです!ありがとうございます!この後どうしていこうか思案中なので更新待っていて下さい!頑張ります! (2016年7月27日 21時) (レス) id: dae8dd9e10 (このIDを非表示/違反報告)
かなり。(プロフ) - 最高です!!感情の表現がすごく細かくて尊敬します!!応援しています! (2016年7月27日 21時) (レス) id: 681ac572b8 (このIDを非表示/違反報告)
歯磨き粉(プロフ) - 意見ありがとうございます!確かに詰め込んでる感はありますので、改善していきます。 (2016年3月29日 21時) (レス) id: dae8dd9e10 (このIDを非表示/違反報告)
ハイキューって神だよね。 - 少しぎゅうぎゅうで読みづらいです。もう少し間が空いていると読みやすいです。無理言ってすみません。更新がんばってね。 (2016年3月18日 12時) (レス) id: 3186d38158 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:歯磨き粉 | 作成日時:2016年3月10日 23時

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