12話 ページ13
平子「何だよ…これ。」
遺書じゃないか。彼女は自らの死を覚悟していたというのか?何も気付かなかった。彼女が死を覚悟しなければならないほどのことがあったということ。一体彼女に何があったんだ…。どうして何も言ってくれなかったんだ。楽しい事も、悲しい事も、辛い事も、2人で分け合おうと言ってたじゃないか。なぜ、一番大事なことを言ってくれないんだ?そんなに俺は頼りないか?そのくせ忘れてくれだなんて。
平子「ふざけるな…!」
酷く憤りを感じた。何も言ってくれなかったAにも。何も出来ない自分にも。こんな…逃げるように、俺の前からいなくなるなんて。いや…俺がただ頼りなかっただけなんだ。少しでもAの変化に気づけたのなら、何か変わっていたかもしれないのに。俺は、1人のうのうと…。どうして…どうして!俺は何も気付かなかったんだ!?ポタリ、と手帳に雫が落ちる。ちゃんと、見ていたつもりだった。けれど、いつも変わらず笑っているAを見て、安心しきっていたんだ。結果、最悪の結末を迎えた。さようなら何て言うなよ。俺を置いていくなよ。なあ、お前がいないと俺は…こんなにもダメになるんだ。たまらない。たまらなく、寂しい。苦しい。俺はいつ、この痛みから解放されるのだろう?君を好きじゃなくなる日が来るのか。誰か他の人を愛する日が来るのか?そんな日を、望んでいない自分がいる。だけど、こんなに辛いのならいっそ、出会わなければ良かったなんて、そんな酷いことすら思うこともある。俺は自分勝手だ。こんなにも好きなのに、こんなにも愛しているのに、君を忘れたい…と思ってしまう。
平子「ああ、くそっ!」
もどかしい。なんてもどかしいんだ。Aを抱きしめたい…この手で、もう一度。もう一度だけでいいんだ。何もない。俺には、何も。Aを求めて、伸ばした手が空を切る。
平子「はあ…やっぱり、夜は…辛いな…」
愛したい。愛されたい。抱きしめたい。抱きしめられたい。キスしたい。キスされたい。忘れたい。……やっぱり、忘れたくない。辛くても、悲しくても。痛くても…苦しくても。
平子「…うん、大丈夫だ。俺はまだ、やれる。Aの無念を晴らしてやる。」
とにかく、ネガティブになるのはこれで終わりにしよう。Aが調べていたこと、成し遂げたかったこと、俺が全部明らかにする。そしたらAは、救われるだろうか…。
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駄郎(プロフ) - すごく心が痛くなりました(´;Д;`)めっちゃ切ない作品、、、素敵でした、、、(><) (2018年5月28日 1時) (レス) id: d57e5a8b8d (このIDを非表示/違反報告)
歯磨き粉(プロフ) - とても嬉しいです!ありがとうございます!この後どうしていこうか思案中なので更新待っていて下さい!頑張ります! (2016年7月27日 21時) (レス) id: dae8dd9e10 (このIDを非表示/違反報告)
かなり。(プロフ) - 最高です!!感情の表現がすごく細かくて尊敬します!!応援しています! (2016年7月27日 21時) (レス) id: 681ac572b8 (このIDを非表示/違反報告)
歯磨き粉(プロフ) - 意見ありがとうございます!確かに詰め込んでる感はありますので、改善していきます。 (2016年3月29日 21時) (レス) id: dae8dd9e10 (このIDを非表示/違反報告)
ハイキューって神だよね。 - 少しぎゅうぎゅうで読みづらいです。もう少し間が空いていると読みやすいです。無理言ってすみません。更新がんばってね。 (2016年3月18日 12時) (レス) id: 3186d38158 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:歯磨き粉 | 作成日時:2016年3月10日 23時