1話 ページ2
現場は、騒然としていた。何しろ、白昼堂々喰種が無差別に捕食を始めたからだ。
俺は、その現場に駆り出された。ただ、暴れる喰種を排除するだけ。いつものことだ。
周りを捜査官が囲んでいるのに、その喰種は捕食をやめなかった。捜査官さえも襲って、狂ったように死肉を漁っていた。
平子「平子班、到着しました。レートは？」
先に着いていた下口さんに話しかける。
下口「SSレートの暴食だ。あいつはおかしい。さっきから致命傷を与えているはずなのに、再生力が半端ない。平子上等、いけるか？」
平子「…やってみましょう。倉元、武臣…援護を頼む。」
倉、武「はい！」
クインケを構え、喰種に攻撃を仕掛ける。そこまでは、いつものことだった。たしかな手応えを感じ、倒れている喰種を見遣る。だがすぐに、再生する。なるほど、たしかに再生力が半端ない。そして視線をそいつが今まさに捕食している人間にうつす。その人に、俺はたしかに見覚えがあった。
平子「…そんな…A…？」
倉元「丈さん？どうしたんすか？」
ダラリーと力なく放り出された白い腕。明らかにもう、手遅れだということは分かった。だが、俺は走らずにはいられなかった。彼女のはずがない。その、わずかな希望にかけて。その喰種から死体を奪う。それはもう…目を背けたくなるほど損傷が酷かった。右半身が、ない。けれど…やっぱり、この人は…
平子「A…どうして…」
倉元「知ってる人、だったんですか？」
俺が酷く狼狽していることに疑問を持ったのか、倉元が恐る恐る尋ねてきた。けれど、そんな言葉は耳に入らなくて。今、自分の腕の中で事切れている彼女の事しか見えていなかった。
死んだ？何故？ここにいた？仕事じゃないのか？何故？大勢、人はいたのに。何故？彼女なんだ。何故？何故？何故？何故彼女は死んだんだ？何故今日なんだ？何故？俺じゃないんだ？
倉元「丈さん！危ないっ！」
ああそうだ、きっと、彼女に瓜二つの人間がいたんだ。これは、彼女に似ている誰かだ。俺が電話を掛ければ、きっと、何も知らない彼女が電話口に出てくれるはずだ。そうだ。きっとそうだ。電話をかけてみよう。それがいい。
倉元「丈さん！お願いだからしっかりしてください！今は、喰種を倒すことに集中してくださいよ！」
倉元に、体を揺すられ、やっと正気を取り戻す。そして、やっぱりそれは彼女であると…現実だけが重くのしかかる。ああ、彼女は死んだのか。
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駄郎(プロフ) - すごく心が痛くなりました(´；Д；`)めっちゃ切ない作品、、、素敵でした、、、(＞＜) (2018年5月28日 1時) (
レス) id: d57e5a8b8d (このIDを非表示/違反報告)
歯磨き粉(プロフ) - とても嬉しいです！ありがとうございます！この後どうしていこうか思案中なので更新待っていて下さい！頑張ります！ (2016年7月27日 21時) (レス) id: dae8dd9e10 (このIDを非表示/違反報告)
かなり。(プロフ) - 最高です！！感情の表現がすごく細かくて尊敬します！！応援しています！ (2016年7月27日 21時) (レス) id: 681ac572b8 (このIDを非表示/違反報告)
歯磨き粉(プロフ) - 意見ありがとうございます！確かに詰め込んでる感はありますので、改善していきます。 (2016年3月29日 21時) (レス) id: dae8dd9e10 (このIDを非表示/違反報告)
ハイキューって神だよね。 - 少しぎゅうぎゅうで読みづらいです。もう少し間が空いていると読みやすいです。無理言ってすみません。更新がんばってね。 (2016年3月18日 12時) (レス) id: 3186d38158 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：歯磨き粉 | 作成日時：2016年3月10日 23時
