第37音目~別世界６~ ページ10
美琴が施設に戻ったのはもう日が山の向こうへ沈む頃だった。
まだ新築の施設の廊下を早歩きで歩きながらAの名前を呼ぶ。
美琴「A〜！
どこにいるの〜！？」
一向に返事が聞こえなく、美琴は1度外に出てみた。
そして広場へと足を運ぶ。
その広場には大きな桜の木があった。
桜の木の下にはベンチが1つあり、そこにAは座っていた。
手に1枚の紙を握りしめながら。
美琴「A、ここにいたのね。」
A「美琴さん…
おかえりなさい。」
ふにゃりと笑うAの手に握られた1枚の紙は写真だった。
写真の中には楽しそうに笑うAがいた。
その右隣にAと同じくらいの身長の子供が立っていたが、黒いペンでその顔を塗られていたので誰だか全くわからなかった。
A「…これ、私が川で見つかったあの日にしていた葉っぱのマークの金属盤の下に入っていたんです。」
美琴はAの話に静かに耳を傾けた。
A「なんででしょうね。
覚えていないのに、とても懐かしいんです。」
写真を見ながら微笑み続けるA。
美琴はその姿に胸を締め付けられた。
A「美琴さん、私、自分に対して今とても憎たらしい気持ちでいっぱいなんです。」
美琴「それは、どういうことなの？」
Aは微笑みながらこう言った。
A「…覚えていないのに、なぜだか、私の隣にいる人に対して、なんで自分はこの人に謝っておかなかったのかなって後悔の念があって、すごく、すごく悲しいんです。」
Aの青い瞳からポロポロと大粒の涙が溢れてきた。
そんなAを、美琴が思い切り抱きしめた。
自分も涙を流しながら。
その涙は同情か、それとももらい泣きか否や。
だがその涙はこれらの言葉では表せないほど綺麗で、透明で、純粋だった。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 151人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
遊星(プロフ) - この話の夢主の名前固定解錠お願いします。この話のパート1とは違います。 (2019年9月25日 7時) (
レス) id: cc3dcebb37 (このIDを非表示/違反報告)
晴(プロフ) - なるほど！おっけーです！ (2016年4月28日 0時) (レス) id: 62f0c320d4 (このIDを非表示/違反報告)
アップルティー(プロフ) - 晴さん» 申し訳ありません、thirdの方は手直しのためパスワードをかけさせていただいております。手直し完了次第、すぐに公開いたしますので、しばらくお待ちくださいm(_ _)m (2016年4月25日 7時) (レス) id: 869e11cc59 (このIDを非表示/違反報告)
晴(プロフ) - ３部の方にパスワードかかって読めません(*＿*) (2016年4月24日 14時) (レス) id: 62f0c320d4 (このIDを非表示/違反報告)
莉子 - Nice to meet you、莉子です(^^) (2015年12月7日 17時) (携帯から) (レス) id: 37f7808f74 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：アップルティー | 作成日時：2015年10月29日 21時
