第65松 ページ15
チョロ松目線
「…え?」
Aは確かに言った。
「…誰ですか」
澄んだ瞳でそう聞く少女に僕はその場で崩れた。
カラ松も「嘘だろ…」と小さな嗚咽を微かにもらした。
「僕だよ!チョロ松!忘れたの!?」
僕は頭の中が真っ白になり、気がつけばAの肩を掴み、叫んでいた。
「え…?チョロ松…?…私の旦那さんの名前と少し似てるけど違う…」
「だ、旦那!?誰!?」
「一松…だけど」
「A!?ならば、お前は一松の奥さんなのか!?」
突然カラ松も真剣な目でAに詰め寄った。
僕とカラ松の顔を交互に見た後、彼女は申し訳無さそうな顔になった。
「…すみません、私はあなた方の存在を知りません。ですが私は一松の嫁だということは真実です」
「……違う」
「…カラ松兄さん?」
「Aは…洗脳されている」
「…えっ?」
今にも怒鳴り散らしそうな怒声で呟いたかと思うと、カラ松は途端に静かに呟いた。
その場にいた僕もAも目をキョトンとさせた。
「A、落ち着いて聞いてくれ。…お前は、Aは一松の嫁では無いんだ」
「…え!?そ、そんなわけ無いですよ!私と一松は結婚しているんです!関係の無い貴方に言われても納得いきません!」
「取り乱してしまうのは仕方のない事だ。…では聞こう。2人は結婚式はあげたか?」
落ち着いて質問するカラ松にAは一瞬動揺した。
「…目が覚めたら私は結婚していると彼から直接言われました」
「そうか。なら、それが証拠だ」
「証拠はそれだけですか?1つではちゃんとした証拠になりませんよ」
Aは頑として結婚していない事実を認めようとしない。
これは僕にでも分かる。
Aは一松にとって都合の良い“人形”に変えられたんだ。
「な、中々粘るな、sister。日記は一度しか使えないし…どうしたものか」
「いや、こうなったら強行突破みたいな感じでAを揺さぶってみるしかないよ」
今のAは一松の人形そのものだ。
彼女はこのままだと幸せにはなれない。
一生あいつの愛人形として遊ばれるだけ。
なら、僕たちがAを正気に戻させるんだ。
一松、お前の思い通りにはさせないからな。
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ふじいろ - 良すぎて涙出てきた完結おめでとう (2021年4月2日 18時) (レス) id: b0ac4dc4e8 (このIDを非表示/違反報告)
天城 美依(プロフ) - レミリアさん» ありがとうございます!! (2018年3月26日 11時) (レス) id: 6a5ae3df9e (このIDを非表示/違反報告)
レミリア(プロフ) - 完結おめでとうございます! (2018年3月26日 11時) (レス) id: 3f2839ebb0 (このIDを非表示/違反報告)
天城 美依(プロフ) - 殺松さん» 教えて下さりありがとうございます!今初めて気がつきました(苦笑)ありがとうございます! (2018年1月29日 18時) (レス) id: 6a5ae3df9e (このIDを非表示/違反報告)
殺松(プロフ) - あの、バットエンドの最後のセリフが「アイテル」になってますよ! (2018年1月29日 16時) (レス) id: 79a3e216e9 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:天城 美依 | 作成日時:2017年12月5日 23時