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月の光 ページ9

アナウンスの声と同時に会場は真っ暗になって
ある一点だけを明るく照らす




そして聞こえてきたのは




パッヘルベルの、カノン




ーーーーーーーーーー
約2年前




『るぃ、じょうず〜!』




手をぱちぱちと叩いて拍手をする"わたし"と
慣れない手つきでヴァイオリンを持つ類の姿




類「…………ん、、」




類は小さな身体で、ヴァイオリンを肩に置き
自分にとっては長く感じる弓を持って、丁寧に弾いていく




『おかあしゃま、るいのひいてるおうたは、なぁに?』

高塚母「カノンよ」

『かのん、?』

花沢母「類がね、Aちゃんに聞いてもらいたくって
毎日練習してたのよ」




ーーーーーーーーーー




『………じょうずになったね、るい』




類の演奏は会場を更に活気付けて
そろそろ終盤に差し掛かる頃だった




「では、次の方で最後になります
高塚財閥の御曹司、高塚A様、お願い致します」




総二郎「…………は?」

あきら「っ、Aのなまえ、だよな」

類「………A、」




皆は困惑する




『………つぎは"わたし"が、がんばるね』




今だけは"わたし"で




ドレスの裾を摘んでお辞儀
歩き方も仕草も表情も「女性」として演じる




生まれた時から母に教え込まれた
女性としての佇まい、その全てをこの舞台に注ぐんだ




「御曹司、なんだよな、?」

「でも、綺麗な顔立ちね………」




ピアノの置かれた場所まで行くには、短い階段を登る
"わたし"が階段を前にした、その時




誰かが両手を優しく持ち上げ、腰を支えた




あきら「せいいっぱい、やっておいで」

総二郎「なにがなんだかしんねぇけど、がんばれよ」

類「……だいじょうぶ、Aなら」




みんなの後押しを受けながら、階段をゆっくりと登り
ピアノの前に置かれた椅子へと腰掛ける




ーーーーーーーーーー




司「っ、あいつ、めみえねぇんだぞ、ババア」

道明寺母「知ってるわよ」

司「じゃあ、なんで……!!!」

道明寺母「黙って見てなさい」




ーーーーーーーーーー




"わたし"は鍵盤蓋を上げて、鍵盤に指を掛ける




そして弾くのは




ドビュッシーで、月の光 。

尊敬→←懐かしい音



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トラ吉(プロフ) - flowerさん» ありがとうございます。総二郎ですね!一候補として頑張ってみます。 (2022年1月9日 12時) (レス) id: 4acc2e7d81 (このIDを非表示/違反報告)
flower(プロフ) - こんにちは!いつも楽しく読ませて貰っています。流れ的には花沢類が書きやすいと思いますが総二郎落ちにして欲しいです! (2022年1月6日 10時) (レス) id: 8781bf96ce (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:もりのくまさん | 作成日時:2021年9月23日 9時

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