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story17 ページ26

そらるside



ずっと不思議に思っていた。


“あんたがAを殺した”“幸せになる資格なんてない”


彼女はずっとそう言っていた。

だけどそれは全て曖昧なもので、具体的な要素はなに一つとして見つからない。


彼女はまふまふに、なにをしてほしい?

そう思って投げかけた疑問だった。



「…………いじゃないですか」

「え……?」



最初の方がどうにも聞き取れない。

彼女は俺らの顔を見ないで、小さな声で呟いた。



「わかるわけ、ないじゃないですか」



今まで伏せていた目を上げ、こちらを向いた彼女は泣き笑いのような表情だった。

ただ、さっきまでとは確実に違うのは、“まふを責めているわけではない”ということ。



「私にわかるわけがない。……私は……、私はAじゃない!」



急に激昂した彼女に戸惑う。

呆然としている俺らを尻目に、彼女は“なにか”を玄関の外に投げ捨てた。

カツン、と堅いものが地面に当たる音と同時に、俺らは玄関の外に押し出される。

彼女は扉を閉め、ガチャリと鍵もかけた。



「は……?」



家の中から閉め出された理由、急に激昂した理由。

なにもわからなくて、ぼうっとしていたら、まふが投げ捨てられたと思われるものを拾った。



「そらるさん、これ……」

「なんだこれ。……白い、石?」



まふが手に持っていたのは、白…いや、白銀の石。

光沢のあるピカピカの石で、汚れは見あたらなかった。



「これ、僕が昔Aにあげたものなんです。お守りだって。……Aはこれを、あの子にあげていたんですね」



まふがAさんにあげたというなら、それは何年も前のことだろう。

何年も前のものに汚れ一つつけずに、大切にしていた。

……なんでそんなものを、投げ捨てた?

考えれば考えるほど、思考の沼にはまっていく。


家の中から、泣き声が聞こえた気がした。

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千々(プロフ) - くまくまちゃんさん» 最初のころの作品で語彙力ドバドバ崩壊なのにそういっていただけるなんて嬉しいです……! コメントありがとうございました! (2020年11月1日 14時) (レス) id: 4401622583 (このIDを非表示/違反報告)
くまくまちゃん(プロフ) - すごいふかいなぁ。神かな?←面白かったです! (2020年9月19日 9時) (レス) id: 8a3f9ddf1c (このIDを非表示/違反報告)
千々(プロフ) - ひきねこさん» こちらにもコメントありがとうございますっっ! たくさんのコメントは本当にモチベに繋がるので嬉しいです……! 神作と思っていただけるのはRONONさんのネタが素晴らしいからですね、上手くネタを生かせたか心配ですけど、そう言っていただけて良かったです! (2020年8月18日 22時) (レス) id: b78eeb1902 (このIDを非表示/違反報告)
ひきねこ - こんにちは 新しい方のから読みに来ましたよ なんですか!?作者様は神作しか書けないんですか!?コホン…凄く良かったです 他のも読みにいきます (2020年8月18日 19時) (レス) id: b9ac26b4ea (このIDを非表示/違反報告)
千々(プロフ) - #よにん。@変人系カップル&シトラ教教組さん» これからも読者さんの期待に応えられるように、誠心誠意頑張らせていただきます……! ありがとうございました! (2020年8月5日 15時) (レス) id: b78eeb1902 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:千々 | 作者ホームページ:http://uranai.nosv.org/u.php/hp/tidierika2/  
作成日時:2020年5月10日 14時

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