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君とのラスト。【赤司征十郎】 ページ6

ある秋の日、オレはAに中庭に呼び出された。
この時からどこか嫌な予感はしていたんだ。

赤「どうしたんだい?こんなところに呼び出して。」

 尋ねても―

あ「征...忙しいのに急に呼び出したりしてごめんね。」

 理由を答えないA。
 
赤「構わないよ。ちょうど空いていたしね。」

 そこには触れずに微笑めば、切なげな表情をする。
 一体何があったというんだろうか。

赤「座ってもいいかい?」

あ「そうだね。私も座ろう。」

 Aが言ってベンチの隣に腰掛ける。
 中庭は人がほとんど来ないせいで
 オレ達の間に流れる沈黙がより一層際立っている。

赤「A、何か言いたいことがあるんじゃないのかい?」

 A一向に口を開こうとしない。
 疑問に思って問いかける。
 と―

あ「フフフ...全く、征には敵わないね。」

 小さく笑って続けた。
 なぜだかAが泣きそうに見える。

あ「征...」

赤「何だい?」


  ふぅ 大きな深呼吸を1つ―


あ「私と...


 別れてくれない?」




赤「...え...?」

 どういうことだ?

 何が起きたのか分からない。
 
 でも、Aは話を続ける。

あ「ねぇ、付き合って最初のころ征が私に勧めてくれた本、覚えてる?」

 本?
 何のことだろうか?
 そう思いながらも、Aの言った本を思い出そうとする。
 どんな本だったんだろうか?
 そもそも本を本を薦めたのかさえ記憶が定かでない。

あ「あの本、面白かったんだけどラストは切なくって。」

 ラスト?
 考えていると―

あ「...あの話の、ラストみたいだね。」

 そう言って、切なげに小さく微笑む。
 微笑んだふねつはとても綺麗だった。

赤「A...理由を、教えてくれないか?」

 ...答えを聞きたいのか聞きたくないのか、
 自分で思っていたよりもずっと消え入りそうな声になってしまう。


あ「...他に..好きな人が..できたから...」

 髪を耳にかけながら、小さく呟くA。

あ「バイバイ、赤司くん。」

 そう言うと、校舎へ向かって歩き出す。

赤「A...」

 オレが気付かないとでも思ったかい?
 Aが耳に髪をかけるのは嘘をつくときの癖だ。

 それに、心なしか立ち去りながら涙をこぼしているようにも見えた。


 (...「バイバイ赤司君」なんて。)

 (...これが、君とのラスト)

 (...なんてことはさせない)

月のない夜に。【黒子テツヤ】→←嘘つきなキミに宣戦布告。【高尾和成】



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ミリイ(灰崎信者)(プロフ) - リクで↓の続きです 虹村も嫌い祥吾様守れるのは夢主だけ祥吾様は他者依存型+性格変更型夢主は他者愛型(溺愛)青峰に殴られる時、間に入って夢主が殴られる 〜型って書いてるのはアンサイクロペディアに書いてます (2019年4月4日 19時) (レス) id: 99fc6b4eef (このIDを非表示/違反報告)
ミリイ(灰崎信者)(プロフ) - 祥吾様の事は必ず様付け+常に敬語祥吾様は絶対「祥吾様は彼氏兼教祖様自分の息子みたいに可愛い」って言って 僕っ娘で祥吾様の為なら最強祥吾様を傷付け奴は排除青峰は祥吾様殴ったから黄瀬はポジ赤司は強制退部させたから嫌い祥吾様の面倒見てるっぽい (2019年4月4日 19時) (レス) id: 99fc6b4eef (このIDを非表示/違反報告)
高尾涼(プロフ) - もち稲荷さん» ありがとうございます!とても嬉しいで! (2019年3月25日 4時) (レス) id: 262d7204a3 (このIDを非表示/違反報告)
もち稲荷 - すっごいキュンキュンします!好きです、こういうの! (2019年3月24日 23時) (レス) id: 2f43d3b82c (このIDを非表示/違反報告)
高尾涼(プロフ) - ミリイ(灰崎信者)さん» 遅くなってしまいすみません、いかがですか?要望等あればぜひ教えてください!リクエストありがとうございました! (2019年2月20日 17時) (レス) id: 262d7204a3 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:高尾涼 | 作成日時:2018年4月19日 18時

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