十人十色【黒バス】【短編集】

期待してもいいですか。【笠松幸男】 ページ35

Aside

あ｢ゴホッ、ゴホッ…あー風邪ひいたかな｣

ドリンクの用意をしながら1人つぶやく。
やっぱ明日はジャージもってこよ。
それで、今日は帰ったら早く寝よ。
そんなことを考えていると、

あ｢わっ、先輩！？｣

突然視界が真っ暗になる。

笠｢寒いんだろ？だったらそれ着とけ。｣

あ｢えっ、あ…｣

見てみると私の視界を覆ったのはどうやら笠松先輩のジャージだったようで。

あ｢でも、先輩寒いんじゃ…｣

笠｢黙って着とけ。寒そうなやつみてるほうが寒いんだよ。いいか？これは主将命令だ！｣

必死になっていう先輩がどこか愛おしくて、
思わず笑みが零れる。

あ｢分かりました。じゃあお言葉に甘えて。ありがとうございます、主将！｣

笠｢///｣

あれ？
せっかく素直に受け取ったのに先輩は顔を真っ赤にして走り去ってしまった。

まあ入部当初はろくに話もできなかった先輩が今ではジャージも貸してくれるようになったなんて、大きすぎる進歩だ。

とはいっても今みたいにときどき照れて顔を真っ赤にしてるんだけど。

あ｢…あったかい。｣

貸してもらったジャージに袖を通し、ふとつぶやく。
ジャージ自体先輩の体温であっためられている。

それにー

笠松先輩が私のために無理してくれたことを思うとやっぱり先輩のその優しさが心を温めてくれる。

走り去る先輩を見つめながら、小さくつぶやいた。

あ｢ありがとうございます、先輩。｣


(…そのぬくもりが嬉しくて。)

(…もしかして、なんて。)

(…少しは期待してもいいですか？)

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