十人十色【黒バス】【短編集】

戻ってきてよ。【黄瀬涼太】 ページ31

Aside

私は一週間前、大好きだった彼氏に振られた。

理由はもはやあってないようなもので、結局はどこかで聞いたことのあるようなセリフしか返してくれなかった。

桃｢おはよー！Aー！！｣

あ｢あ、さつき！おはよ｣

ぼんやり歩いていると、さつきに声をかけられた。
さつきは部活もクラスも一緒で、事情も知ってるから気遣ってくれる。

桃｢やっぱまだ見慣れないなー｣

そう言って短くなった毛先に触れる。

あ｢そう？私は結構気に入ってるよー｣

わざと明るく笑う。
私はアイツに振られて髪をバッサリ切った。
古典的かもしれないけど、次に進むために。

友達にもわりと好評で、だからさっきの言葉も嘘じゃない。

あ｢あ、…｣
桃｢うん？｣

ふと、前に目をやるとそこには見慣れた黄色い髪が。

あ｢黄、瀬…｣

大好きだった人。
懐かしすぎて思わず涙腺が緩む。


ーのも束の間。



えっ、


まって、



だれ？


どうして？


見慣れた背中と並ぶのは華奢な背中で。
ふたりはときどき顔を見合わせながら幸せそうに歩いてる。

まさか、…彼女？

嘘でしょ？
まだ1週間だよ？

…ほんっと、男心って分かんない。

桃｢A…？大丈夫？｣

心配そうに顔を覗き込まれる。

でも、私はもう心に決めていた。



あ｢うん！いつかアイツが後悔するくらい綺麗になって見返してやる！だからもう大丈夫！｣




1年後ー

すれ違う人が皆振り返り、はっと息を呑む

彼女の名前は、


白崎A。


(…もうアイツのことなんて忘れたの。)

(…なんて、嘘。)


(…そろそろ戻ってきてよ。)

＊＊＊

お気づきの方もいらっしゃると思いますが、
西野カナさんのBelieveをモチーフに書かせていただきました！

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