十人十色【黒バス】【短編集】

すぐ分かる。【今吉翔一】 ページ17

今吉side

あ「しょーいちっ！」

　廊下を歩いていると、後ろから聞きなれた声がした。

今「おぉ何やAやないかい。
　 どないした？」

あ「ふーん！どーせ私の考えてることなんて
　 お見通しなんでしょ？」

　そう言うと、Aはプイっとそっぽを向いてしまう。
　まぁ、Aは分かりやすうて大体の人は分かってしまうはずなんやけど。

今「そんなツンツンしとったら可愛いのがもったいないでー？」

あ「何言ってんの！？」

　ワシの言葉に一気に顔を赤くさせる。

　ほんま可愛いのう。

あ「もう翔一なんて嫌い！」

今「なーんやワシのこと嫌いになったんか？

　 ほな、さいならやな。」

あ「...何でそんないつも余裕なの。」

今「そんなんAの顔見ればすぐわかるわ。

　 顔に出るタイプやし余計にのう。」


　ワシの言葉に考え込むようにするA。
　やがて―

あ「...

　 じゃあ、今の気持ち、読んでみて？」

　少し得意げに向き直る。
　どういうことや？

今「そんなん...！」

　すぐ分かるわ、と言いかけて言葉が止まった。



　(...やっぱAには敵わんわ。)

　(...『ずっと一緒にいたい』なんて、)

　(...ワシもや。)

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