天使だった幼なじみがハイスペックイケメンになって私を迎えに来た。 (ページ44)

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茶化されて応援された。

○

お昼休み。お弁当を食べ終わって良い具合に腹も膨れて、眠くなってきた頃。

すっかり気の抜けていた私はポロッとつい口に出してしまったのだった。

「……恋、か」

ガタガタガタンッ！！！

ハッ、として顔を上げると、一緒に食べていた友達が三人、揃って椅子から転げ落ちそうになっている。

……どういう状況…？

「な、な、何…！？」

「最近様子おかしいなって思ったら、恋とか言い出したんですけど！！」

「相手はあのイケメンか！？あの子雄英の轟焦凍くんっていうらしいよ！」

「あっ！あの体育祭に出てた王子か！どうりで見たことあるなって思ったわ～！」

一人喋り出すと誰かが話し出す、を無限ループに繰り返す三人。まるで昼下がりの主婦か。私まだ何も言っていない。

というか…よくもまぁ人の恋バナでそんなに話せるなぁ…

「男っ気の無いAと唯一関わりを持ってるイケメン！絶対なんかあるとは思ってたもん！」

「で？で？どういう関係なん？」

「まさかだけど彼氏ーーー！！？」

あっダメだ、これ。

何があろうと恋バナ続ける気である。もはやここまで来ると怖い。喋っている暇があるのなら目の前の飯を食しなさい。

「ヤダァ！Aちゃんに彼氏とか…似合わない！！」

「えっどういう意味？それ」

「羨ましい！！羨ましウワアアアア」

「ちょっ、大声出すのやめて」

・

とりあえず事の顛末は全て話した。

「へぇええ！それって！？それってつまりい！？」

「告られてるぅー！！」

「テンション高すぎ」

恍惚とした表情で頷きながら聞いていてくれた三人は、自分のことのように浮かれて喜んだ。

そして私の方をひと叩き。

「羨ましくはあるけどね。Aの初めての王子様なんだし、応援してるよ」

「……うん、ありがとう」

音を立ててパックに入ったジュースを飲み干した時、昼休みの終わりを知らせるチャイムが鳴った。

応援、されたな。