天使だった幼なじみがハイスペックイケメンになって私を迎えに来た。 (ページ43)

今日:125 hit、昨日:259 hit、合計:4,563,357 hit

○43○ ページ43

上弦の月が昇った日、私は恋を知った。

○

頭がぽわぽわする。

身体が宙に浮かんでいる気がする。

……本当に本当に、私は焦凍くんの彼女になれたんだ。

焦凍くんを帰らせて、こうして家に着いてソファーに座って落ち着いても、去り際の彼の言葉が気になって仕方がない。

『A、自信が無いって言ったよな？』

『それが俺に愛されてるって自信なのか、A自身の魅力の話なのかは知らねえ。どっちにしろ、分かってないみてえだから分からせるまでだ』

『来週の金曜日の夜、また迎えに行く』

迎えに行く、だなんて、王子様みたいだな。焦凍くんは。

窓の外のお月様を眺めながら、彼から貰った(正しくは返してもらった)赤色の指輪を指で弄ぶ。

……自惚れている自覚はあるけれど。

昔のことをやたらと鮮明に憶えていたり、こうして10年も前にあげたおもちゃの指輪をケースに入れて取っておいているあたり、本当に私のことを好きでいてくれているんだろう。

勿論嬉しい。私だって彼が好きだから。

「……本当に」

どうして私を選んでくれたんだ。あの天然王子様は。

助けられたって言ってたけど幼少期の私はとてつもなく子どもだったと思うし、何より近所に友達がいなかったから、たまたま見つけた焦凍くんと仲良くなっただけだ。何かしてあげられた記憶はひとつもない。

まあ、別にもういいか。

もう自分の恋心は理解した。

次は、彼の恋心を理解しよう。

また彼が傷つくことのないように。