○25○ ページ25
私の知らない君がいるのは許容範囲内。
○
「こーやって」
「……おお」
「できた！なかなか描けた」
「すげえな」
幼い記憶を頼りにガリガリと砂場にオールマイトを描いてみた。
ふむ。なかなか描けるものだな。十年前の記憶なのに。
いや、描き始めたのが十年前であって、焦凍くんと離れてからもノートの端っこに描いたりしてたな。体が覚えてるみたい。
というか、焦凍くんは雄英生だからオールマイトは毎日のように見れるんだよね。いいなあ。
「……腹減った」
「！焦凍くんの口から腹減ったって聞こえた！！」
「そう言った」
「寄り道しますか？」
「この辺に、麗日が教えてくれたクレープ屋があるから、行くか？」
おお、クレープ屋さんか。友達に教えて貰ったんだね。
微笑ましく思った矢先、ピシリと体が固まる。
うららか…うららかさん？うららか！？
え、何だその名前、苗字？名前？めっちゃ可愛いな、絶対女の子だよね。どうしよう……(？)まあ、そりゃ焦凍くんにも女友達くらいいるよね……？？
「……A？すげえ顔だな」
「ん゛っ」
「…！？……っ、ふふ」
若干の嫉妬でブスくれた顔を『すげえ顔』と評されてしまったので、頬に空気を入れて拗ねてみる。
焦凍くんは口を抑えて笑いを堪えていた。よっしゃ。顔面を笑われるのは複雑だけど、焦凍くんを笑わかせられて嬉しい。
「笑うとやっぱり可愛いね」
「……………………」
ぽこん。
真顔に切り替わった焦凍くんの頬がリスみたいに膨れた。
えっ、なにそれ。ありえないくらい可愛い。
「Aのまね」
彼の頬はもちもちだった。
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作者名：- | 作成日時：2017年12月9日 6時
