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少しして胡蝶さんに調べてもらいに行った。
どうやら惚れ薬が入っていたらしい。
時透君はポカンとしてたけど、私は驚いて声を上げた。
しかし何故時透君はあの子に惚れなかったのか。
効いたは効いたけど、私だけに効いたらしい。
それは、時透君が私以外を、女性として認識していないからだとか。
なんか嬉しい。
A「時透君があんな断り方するなんて思ってなかったよ。ほら、鬼殺隊が恋愛することに怒りを覚えてたじゃない。いつもみたいにもう少しキツく言うかと思った。」
蝶屋敷からの帰り道、私は時透君に問いかける。
いつも相手を突き放すようなことを言うから、今日のあれは本当に珍しかった。
時透 『ごめん。君とは恋仲になれない。』
それだけ言って黙った。本当ならまず、自分から謝らない。そして淡々とお説教をしだす。
なのに今回はどうした。
時透 「…僕って普段からそんなに怖いの?」
A「…慣れてない人にはね。…自覚ないの。」
時透 「…ないし忘れるから。…そういえば、Aって兄弟いるの?」
A「急だね!?」
話が変わりすぎ。
A「いるよ。弟が一人。」
時透 「……そうなんだ…。」
本当にどうしたんだろう。
何か言いたそうにしてた。
〜時透視点〜
僕は一瞬、平助のことを話そうとした。
あの言い方は、たしかに自分でも優しく言ったつもりだ。
それはやっぱり、平助の言葉を思い出したから。
いつもの僕がどんな感じなのか覚えてないけど、
最初は適当に突き放そうとしていた。
でも、平助がAのお兄さんだからなのか、平助の妹がAだからなのかわからないけど、
彼の言うことを信じたくなった。
今はわからなくてもいつかはわかるって。
そう言った平助のことを、Aに言ってしまおうと思った。
平助も、Aに知ってもらえることを望んでると思う。
…でも、良いのかな。
僕だけに姿を見せたってことは、Aには見せなかったってことでしょ。
Aに用事ならAに姿を見せればいい。
それでも僕だったってことは、なにか事情があってそうしてるんじゃないかな。
それに…たとえAに平助のことを伝えたとしても、
いずれはAの未来について話さないといけない。
そんなこと、できるはずもなくて。
僕は、開きかけた口を閉じた。
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