第二十五話 届かない声 ページ27
Aside
「そうそう､､､。A、今日だったでしょう?」
母さんは小さな私を少しはなし、
顔を合わせて
そう問う。
小さな私はキョトンとして、
しばらくうーん､､､。と考えたのち、
パアァｧと顔を輝かせた。
「そうだよ！お母さん。今日は私が“お買い物”に行く日だよ！！」
と、母さんの膝の上でぴょんぴょん跳ねた､､､。
母さんは痛い痛い､､､。と言いながら、
小さな私を下ろし、
「父さんに挨拶してきたら、何を買うのか書いた紙を渡すから、、、、。」
と、小さな私を父のもとへと送り出した。
、
、
、
数分後、小さな私は父さんを引っ張って、一緒に寝室から出てきた。
そのあと、家族全員で食卓を囲み、
たわいのない会話に花を咲かせた、、、、､､､。
食べ終わり、
小さな私はじゃあ、と言って
立ち上がった。
「行って来るね〜！！」
そう笑顔で玄関の扉を開け、小さな私は、
小さな腕を大きく、ふりかざした、､､､。
、
、
、
あっ､、、、、、！
思い出した､、、、、、。
、
、
この日だ。
、
、
、
『A､､､､､､､。』
『A！！！！』
、
、
『『逃げて/ろ！！！！』』
、
、
そのあとのことを私は知っている､､､､､､､。
あのあと、帰ってきたら二人がどんな状態だったのか､､､､､､､。
どんな最後を迎えたのかを､､､､､､､。
「駄目！！！！！行かないで！！！！！」
、
私は、小さな私に思いっきり叫ぶ。
でも、小さな私には届かない。
「お願いだからっ､､､､！！待っ､､､て！！」
いつの間にか流れていた涙のせいで
視界がぼやける。
涙は止まることを知らず、
どんどんまぶたを超えて、溢れ出てくる。
ﾋｸｯ、と嗚咽が漏れる。
「お願いっ､､､。だからっ､､､､､､､！！！」
、
、
、
、
行かないで､､､､､､､､､､､､｡
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作者名：てる | 作成日時：2018年6月27日 22時
