27話 ページ28
『………螺旋丸』と呟いた蛍の手にチャクラの塊。
まずいと感じたカカシも一足遅く、
その餌食になる。
はずだった。
ジリリリリリッ。
けたたましい音が周囲に響き渡る。
それが試験終了の合図だと分かった蛍は手に集中させたチャクラの流れをあえて、ぐちゃぐちゃにしてそれを解いた。だが、勢いに乗った身体は止まることなく、そのままカカシの背中に突撃する。
カカシもやばいと思ったが、
どうにか避けようとしてた身体の勢いは止まらず、地面に顔面を強打する羽目になった。
ズザザァッと砂が舞う。
『いったあぁっ！！！？』
ｶｶｼ「っ…」
ゴンッと勢いよく倒れ込んだ二人。
しばらく痛みに耐えていたが、
蛍は思い出したかのように言った。
『…あ！サスケ……じゃなくてサスケくん！！』
ｶｶｼ「ぐへぇっ…！」
蛍がカカシを踏み台にして、
勢いよく倒れているサスケの方へ走り出す。
カカシはもう苦笑いしか出なかった。
『サスケくん！大丈夫？じゃないよね！？どうしよ…だ、誰かー！？医療忍術が得意な方はいらっしゃいませんかー！？』
ｻｽｹ「うるせぇ……ちょっと黙ってろ」
フラフラと上体を起こして、頭を抑えるサスケ。
蛍はオロオロしながらその前に座り込んだ。
しゅんとしながら俯いている姿は、
まるで子犬。
しっぽが垂れ下がっているように見えた。
『……………ごめん、鈴…取れなかった』
ｻｽｹ「……なんであんたが謝るんだよ」
『だって……』
ぱっと顔をあげる蛍。
サスケは少し考えてから
そんな彼女に微笑むと、
蛍の額を叩いた。
ｻｽｹ「お前の案を聞かなかった俺が馬鹿だったんだよ。だから、謝るな」
『…(確かにそうだけど)サスケくんって優しいんだね』
ｻｽｹ「………」
『へへ。でもなんか楽しかった』
サスケの前で蛍は
ふにゃりと笑いながら、頬をかいた。
対してサスケは頬杖をつきながら、
横目でそれを見るとポツリと呟く。
ｻｽｹ「………スケ」
『え？』
ｻｽｹ「だから………サスケでいい………」
『…………』
頬をほんのり赤く染めながら言うサスケに、
蛍はポカーンと口を開けて固まった。
逆に彼女から返事のないサスケは
さらに恥ずかしくなって、顔を染める。
ｻｽｹ「な、何とか言えよ」
『ツンデレのデレ期がきた』
ｻｽｹ「はぁ！？」
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作者名：かるーあ | 作成日時：2022年11月29日 13時
