第1章 あの子が登場する前に ページ4
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第1章 あの子が登場する前に
白石花澄は私立京蘭高等学校の一年生である。前世の記憶と『教室の復讐少女』の知識を持っていることを差し引いても、「普通の女子高生」とは言い難い。
(前髪邪魔っ! 眉毛ボサボサ! てか髪の長さガタガタ!)
仮病で適当な理由をつけて早退した花澄は洗面所の鏡を見て絶望した。
そもそも自分の部屋に鏡がなく、折りたたみ式の鏡すら置いていなかった。
前髪で視界を遮っていた花澄にとって、身だしなみなど気にする必要がなかった。いや、気にしないように鏡を置かなかった。自分の外見に自信がなかったから。
今まで花澄は美容院に行っていなかった。お洒落な美容師に話しかけられるのが怖いし、前髪を切られたくなったからだ。
自分で切っていた後ろ髪は不揃いで不格好。花澄は過去の心の声を無視して、スマホで美容院を調べ始める。
花澄の前世は大学生であった。就活が終わり、これから楽しむというときに交通事故で亡くなってしまう。
地味なリクルートスーツを脱ぎ捨て華やかなファッションやメイクを楽しもうとしていた手前である。
そんなわけで、前世を思い出した花澄は浮かばれない前世の自分のためにお洒落になることを決意した。
しかし、お洒落になる理由というのはそれだけではない。暗そうな女子より、髪を染めて化粧してる方が舐められにくいというのが前世の経験で得た知識であった。
花澄は根暗そうな髪型だけでなく、猫背、低身長、大きな垂れ目のせいでさらに弱そうな外見をしていた。
もちろん、派手すぎて浮いてもよくないが。程々に垢抜けたい、というのが目標である。
おまけに白石花澄という名前も弱そうに見せる要因だと考える。もし花澄の名前が伊集院麗華のような豪勢な名前なら、舐められ度はもう少し低かったかもしれない。
花澄は引きこもりのためお金をほとんど使わなかった。おかけで美容院に加えて最低限の服と化粧品を買い揃えてもまだまだ残りそう。
スマホの画面をスクロールしていた花澄は学生の評判がよい美容院を選び、そこに行くことにする。
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紅月まのか - もしかしてツンデレですかね.......?(え)更新日昨日か.......あと1週間待ってます!頑張ってください! (2019年7月21日 7時) (レス) id: b975388040 (このIDを非表示/違反報告)
花杜あみり(星沢想良)(プロフ) - Couteau_1937さん» 直しました! ありがとうございます! (2019年6月29日 9時) (レス) id: bb468dc0cb (このIDを非表示/違反報告)
Couteau_1937 - 細かくてごめんなさい!!「復讐」が「復習」になってます! (2019年6月23日 21時) (レス) id: deb1b5318f (このIDを非表示/違反報告)
ひよ - オリジナルの中で一番好きです!楽しすぎて久また読み返ししてました笑笑更新頑張って下さい! (2019年6月23日 0時) (レス) id: 85d98be7fd (このIDを非表示/違反報告)
りゆ - とても面白くて、楽しみだったので、更新、戻って来てくれると嬉しいです!(>_<) (2019年6月2日 15時) (レス) id: ebc25fbea8 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:花杜あみり(星沢 想良) | 作者ホームページ:
作成日時:2018年12月25日 16時