第佰肆拾話 ページ43
ただひたすらに、城の中を走る。
途中鎹鴉から伝えられた仲間の訃報には、ズキリと胸が痛む心地がした。
同時に伝えられるのは上弦の鬼を撃破したという知らせ。
嬉しい、はずなのに。喜べない。
みんな、次々と死んでしまう。
そしてその死を代償とするかのように……次々と上弦の鬼が消えていく。
残っている鬼殺隊はどのくらいだろう。
今こうして思い浮かべている間にも鬼にやられて人が死んでいるのかもしれない。
そう考えて浮かんでくるのは悲しみよりも怒りだった。
「(仲間の死は、絶対に無駄にしない)」
ぐっと、刀の鞘を握る。
無惨を倒し、この戦いに終止符を打つことこそが死んでいった仲間たちへの弔いだ。
「復活ッ!!無惨復活!!
柱ハ至急集結セヨ!!集結セヨォオ!!」
「!」
響いた声にハッとする。
どこからともなく飛んできた鎹鴉が告げた。
"無惨、復活"。
その言葉はその場にいる全員に重くのし掛かった。
「無惨復活って……」
「まさか、間に合わなかった……」
あわよくば、復活する前に殺せれば……なんて考えてたけど、そんな考えを嘲笑うかのように無惨はこの城のどこかで復活した。
……まだ原作通りだから、私は冷静でいられる。
だけど、他の隊士はそうもいかない。
あんな馬鹿みたいな強さの奴と真正面から戦わなきゃいけないなんて、恐怖でしかない筈だ。
いや、もちろん私だって怖いんだけど。
「とにかく、私は急いで無惨のところに……」
行かなきゃ。
そう言おうとしたところで、ぐらりと地面が揺れる。
否、地面……というよりも城全体が。
何とか倒れないように踏ん張ってみるも、揺れは一向に収まる気配がない。
「えっ!?何!?なんッなのコレ!!!
無惨のせいなの!!?俺死ぬの!!?」
「あーッ!頼むから耳元で叫ぶな!」
「城が、撓んでる」
そして、琵琶の音が鳴り響くたびにぐるりぐるりと場所が移動する。
おそらく、愈史郎くんと無惨が戦ってる。
こんなに場所がぐるぐる変わるのは、直接じゃなく鳴女を通して戦っているせいだ。
移動の時にかかる圧力は半端ないし、動きが速すぎて乗り物で酔う私には辛すぎる。
いや、本当に酔いそう。
「っ、」
その時、ぐしゃりと壁にひびが入る。
まずい……直感でそう思った。
そして次の瞬間、ひび割れた城の隙間から……外の景色が見えたような気がした。
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セレーナ・ラフィーネ(プロフ) - ばなな( ?)バナナさん» コメント、ありがとうございます!完結後のことはまだ考えておりませんが、まずは本編を完結させるべく執筆していきますので…更新ペースはゆっくりかと思いますが、ご愛読のほどよろしくお願いします! (8月9日 11時) (レス) id: 50bf8bc3a8 (このIDを非表示/違反報告)
ばなな( ?)バナナ(プロフ) - いっぱい寿司...この続編とかでキメ学とか書いて欲しい...(ᵒ̴̶̷᷄ ᵒ̴̶̷᷅) (8月7日 5時) (レス) @page34 id: 0b7a4ff9a1 (このIDを非表示/違反報告)
セレーナ・ラフィーネ(プロフ) - あきらさんさん» 嬉しいお言葉、ありがとうございます!天星ちゃんはなんだかんだで私も好きなキャラです笑 更新ペースはゆっくりかと思いますが、これからもご愛読のほどよろしくお願いします! (7月29日 11時) (レス) id: 50bf8bc3a8 (このIDを非表示/違反報告)
あきらさん(プロフ) - 初コメ失礼します!!作者様の書く小説が好きです、このお話もめちゃくちゃ読みやすくて、感情とかがスっと頭に入ってきました!とくに天星ちゃんのオタク?っぷりなところや真剣なところなども好きです!作者様のペースで更新頑張ってください! (7月27日 20時) (レス) @page34 id: af4a079e32 (このIDを非表示/違反報告)
セレーナ・ラフィーネ(プロフ) - にゃーちゃんさん» ありがとうございます!愛ちゃんはもう別人と言っても過言ではないですね笑 更新はゆっくりかと思いますが、これからもご愛読のほどよろしくお願いします! (2023年1月6日 23時) (レス) id: 50bf8bc3a8 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:セレーナ・ラフィーネ | 作成日時:2022年7月31日 19時