転生先が乙女ゲームみたいなんだが 2【鬼滅の刃】

第捌拾壱話 ページ33

「野一色、ここに来るまでに他の鬼を見たか？」
「……いえ、見ていませんが」




どうかしましたか？と首を傾げる。
もちろん、どうしたかなんて分かっちゃいたけど…まぁ一応ね？聞き分け良すぎるのも良くないじゃん？




「こいつは上弦の鬼じゃねぇ」
「……確かに、上弦にしては手応えがなさすぎます」
「となると、この遊郭のどこかにまだ鬼が潜んでやがるな」




ついて来い、と言うなり宇髄さんは私に背を向ける。

ついて来いと言われれば(宇髄さんの方が立場的に上なんで)ついて行く他ありませんが、お目当ての鬼は目の前にいるんですよね。


何もかも知っているのに、どこまで助言していいのかが悩ましいところ。
こういう時、天星さんなら何も気にせずズカズカと介入して行くんだろうな。その行動力が素晴らしい。今はこの場に天星さんがいてほしいと心から思った。




「ちょっと待ちなさいよどこ行く気！？
よくもアタシの頸を斬ったわね！ただじゃおかないから!!!」
「まぁだギャアギャア言ってんのか。
もうお前に用はねぇよ、地味に死にな」
「ふざけんじゃないよ！
だいたいアンタ、さっきアタシが上弦じゃないとか言ったわね！」
「だってお前、上弦じゃねえじゃん」
「アタシは上弦の陸よ!!」




頸から上がない堕姫が喋り続ける。
自分の頭を抱えてるなんて不気味、生で見るとより一層不気味。
前世のお化け屋敷かなんかでこんなの出てきたら、私は確実に叫ぶ。友達置いて逃げ出す。




「だったら何で頸斬られてんだよ、しかも野一色に」
「……一体、どういう意味ですか？それ」




はいはい、そりゃ宇髄さんに比べれば実力は劣りますけどね。私だって柱なんですよ。
平和に暮らしたいとか言いながら柱やってるんですよ。もう少し評価してくれても良くないですかね？




「アタシまだ負けてないからね！上弦なんだから！」
「負けてるだろ、一目瞭然に」
「アタシ本当に強いのよ！今はまだ陸だけどこれからもっと強くなって……」
「説得力ねー」




やがて、堕姫は大きな声で泣き叫ぶ。
落ちた頭部から大量の涙が溢れ出した。




「ほんとにアタシは上弦の陸だもん、本当だもん！
数字だって貰ったんだから！アタシ凄いんだから！

死ねっ!!死ねっ!!みんな死ねっ!!わぁあああああああ!!!!頸斬られたぁ、頸斬られちゃったああ!!
お兄ちゃああん!!!」




その瞬間、堕姫の体からもう一体の鬼が現れる。
私と宇髄さんは同時に刀を振るった。







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お久しぶりです。
本日より更新を再開したいと思いますが、未だにスランプ中なので更新はゆっくりです。

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