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第伍拾弐話 ページ4

「君は乗り物酔いだったんだな!」
「……。」




お館様の屋敷を出て、第一声がそれ。

知らなかった!というが、言ってませんからね。私もつい最近気づきましたし。




「お力になれずすみません」
「気にするな!誰にでも苦手はある!」




ほんと、煉獄さんは良い人だ。
じーっと見つめていると、煉獄さんは首を傾げる。

本音を言えば生きていてほしい、当たり前だ。
だけど、私には未来を変える力なんてない。
だって悪役なんだもん、夢主じゃないんだもん。




「煉獄さん」
「ん?」
「どうかご無事で」




私たちというイレギュラーな存在がいることでこの先の原作がどう変わっていくかなんてわからないけれど……

私は、願わずにはいられない。




「急にどうした!らしくないな!」
「…別に、何となくです」




ふい、と顔を逸らせば……
何を思ったか煉獄さんは私の頭に手を置く。

そしてわしゃわしゃと私の髪を撫で回した。




「あ…の」
「帰ってきたら羊羹でも食べに行こう!」




大きな声で笑いながらそう言う。
いつも通りだけど、私を気遣ってくれていることがわかって…ふっと笑ってしまった。




「次は煉獄さんの好きなものを食べに行きましょう。何がお好きですか?」
「さつまいもの味噌汁だな!」




……知ってはいたけど、さつまいもの味噌汁ねぇ。
私は飲んだことないや、さつまいもが入ったお味噌汁なんて。




「では、任務が終わったらさつまいもの味噌汁の美味しいお店に行きましょう」
「うむ!楽しみだ!」
「はい、ではご武運を」




ペコリと頭を下げて煉獄さんに背を向ける。

私は天星さんのシナリオの中では悪役かもしれない。でも、良いじゃないか。
悪役が誰かの無事を祈っても。


ここはもう、前世で何度も見た漫画の中の二次元の世界ではなく、実際に人が生きる世界なのだから。

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セレーナ・ラフィーネ(プロフ) - ネこ?ャんさん» ありがとうございます…!そう言っていただけると励みになります!更新はゆっくりかと思いますが、今後ともご愛読のほどよろしくお願いします! (2022年6月22日 18時) (レス) id: 50bf8bc3a8 (このIDを非表示/違反報告)
ネこ?ャん(プロフ) - 初コメ失礼しまぁぁあす!単刀直入に言いますと、今まで見た色んな人の作品より大っすきです…!!みんなとの関係が丁度いいというか…愛ちゃんからの攻撃も攻めすぎず攻めなさすぎず、ほんとに大好きです!ゆっくりでも更新頑張ってください!待ってます!!! (2022年6月21日 18時) (レス) id: c14429c9f6 (このIDを非表示/違反報告)
セレーナ・ラフィーネ(プロフ) - シャンさん» ありがとうございます!天星ちゃんとの関係や、他の男達との関係などなど……これからも怒涛の展開…になる予定なので、どうぞご愛読のほどよろしくお願いします! (2021年7月17日 18時) (レス) id: 50bf8bc3a8 (このIDを非表示/違反報告)
シャン - コメ失礼します!正直天星ちゃんといい感じになってるところとかそのまま男達にも好かれてるところとか性癖にぶっささりました!頑張ってください!!!めっっっちゃ好きです! (2021年7月16日 21時) (レス) id: 6939ec7c5a (このIDを非表示/違反報告)
セレーナ・ラフィーネ(プロフ) - suzuharuさん» ありがとうございます!そう言っていただけると励みになります……!更新はゆっくりかと思いますが、ご愛読のほどよろしくお願いします! (2021年7月1日 12時) (レス) id: 50bf8bc3a8 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:セレーナ・ラフィーネ | 作成日時:2021年4月12日 19時

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