第漆拾伍話 ページ27
「……よし、」
大体の情報は掴んだ。
鬼がいるのも確実、お嫁さんが鬼に囚われているのもほぼ確実。
もう得られるものはないと、私は着物を脱いで隊服に袖を通した。
うん、やっぱり隊服は馴染む。
昼間の遊郭を太陽が照らす。
……ずっと太陽が照らしてくれていれば鬼の活動数も減るのに、なんて無茶なことを考える。
でもそれだと環境に適応して太陽を克服する鬼が増えてきそう。
たんっ、と窓斑を蹴って外へと繰り出す。
屋根をつたい、吉原の様子を見て、鬼の気配を探る。
原作通りなら、どこにいるかもこれから何が起きるかも手に取るようにわかるけど……
油断禁物、生き残りたいなら臆病であれ。
「野一色」
「!…宇髄さん」
建物の屋根に着地すると、突然背後から宇髄さんが現れて肩が跳ねる。
………背後に現れるの、ほんとやめてほしい。
「何か、ありましたか」
「……おそらく、ここにいるのは上弦の鬼だ」
あまりに深刻な表情で現れたから何を言うのかと思えば、そんなこと。
……いや、そんなことじゃないんだろうけど、上弦の鬼がいる覚悟でここに来た私にとっては、今更かとも言えることだった。
「…はい、それで?」
「それで、っておまえ……」
「上弦の鬼がいるのなんて分かってます。
この気配、そして気配の隠し方……どう考えても普通の鬼じゃありませんから」
目下に広がる遊郭の街並みを見据える。
ここもすぐに戦場になるのだと思うと……少し、心苦しくもある。
でも、鬼殺隊である以上…鬼を野放しにしておくわけにはいかない。
戦いに行くのなんて、死ぬほど怖いけど。
「それに…天星さんも気づいてると思いますよ」
「天星も?」
「はい」
だって、絶対原作知ってるしあの子。
気づいてないはずがないんだよねー。
「……おまえさ、天星と仲悪い割に天星のこと信用してるよな」
「え?」
「ほら、この前の任務も」
この前の任務……?と首を傾げると、煉獄に聞いた。と宇髄さんが言うので、無限列車の任務の事かと理解する。
それはあれか、私が天星さんを推薦した……っていうそういう話か。
「……まぁ、信頼と信用は別ですから」
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セレーナ・ラフィーネ(プロフ) - ネこ?ャんさん» ありがとうございます…!そう言っていただけると励みになります!更新はゆっくりかと思いますが、今後ともご愛読のほどよろしくお願いします! (2022年6月22日 18時) (レス) id: 50bf8bc3a8 (このIDを非表示/違反報告)
ネこ?ャん(プロフ) - 初コメ失礼しまぁぁあす!単刀直入に言いますと、今まで見た色んな人の作品より大っすきです…!!みんなとの関係が丁度いいというか…愛ちゃんからの攻撃も攻めすぎず攻めなさすぎず、ほんとに大好きです!ゆっくりでも更新頑張ってください!待ってます!!! (2022年6月21日 18時) (レス) id: c14429c9f6 (このIDを非表示/違反報告)
セレーナ・ラフィーネ(プロフ) - シャンさん» ありがとうございます!天星ちゃんとの関係や、他の男達との関係などなど……これからも怒涛の展開…になる予定なので、どうぞご愛読のほどよろしくお願いします! (2021年7月17日 18時) (レス) id: 50bf8bc3a8 (このIDを非表示/違反報告)
シャン - コメ失礼します!正直天星ちゃんといい感じになってるところとかそのまま男達にも好かれてるところとか性癖にぶっささりました!頑張ってください!!!めっっっちゃ好きです! (2021年7月16日 21時) (レス) id: 6939ec7c5a (このIDを非表示/違反報告)
セレーナ・ラフィーネ(プロフ) - suzuharuさん» ありがとうございます!そう言っていただけると励みになります……!更新はゆっくりかと思いますが、ご愛読のほどよろしくお願いします! (2021年7月1日 12時) (レス) id: 50bf8bc3a8 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:セレーナ・ラフィーネ | 作成日時:2021年4月12日 19時