#01 〜844年編〜 ページ5
______844年______
「誰だ、コイツ」
コイツとの出会いは昼時の団員でごった返す食堂の一角だった。
エルヴィンに丁度いいと紹介されたこの女は鬱陶しいほどに長い髪を三つ編みにして束ねていた。
座っているために定かではないが背丈は俺と同じ、または俺より少し大きいだろうか。
「彼女は、ジゼル。ジゼル・ルー
2,3年ほど前に友人から頼まれて引き取った子でね、出身は君と同じく地下街だ。
リヴァイが入る一年前から調査兵団にいたんだが、直接面識はなかっただろう?
仕事の呑み込みが早い子だから、まだ不慣れでわからないことは彼女に聞くと良い」
ジゼルと呼ばれた女は俺を見上げると、すぐに興味をなくしたように目をそらした。
気に入らねぇなァ、俺のほうがどう見ても年上だろうに会釈もロクに出来ねェなんて。
「チッ」と思わず出た舌打ちと共に、俺は小生意気なクソガキの後ろに回り込んで、鬱陶しい三つ編みを思い切り引っ張り、椅子から引きずり下ろした。
エルヴィンの野郎が何やら言いたそうに呆れていやがるが気にしねぇ。
「俺は、リヴァイだ。ジゼルとかいったか?
テメェ、初対面の相手に会釈もしやがらねぇとはいい度胸してんじゃねぇか」
「………せ」
「ア?」
「離せ、と云うのが聞こえなかっただろうか」
ジゼルはゆっくり立ち上がり、自分の髪を俺の手から引っ張る。
そして、何事もなかったかのように椅子へと座りなおし、味気ない食事を再開した。
_____クソガキが。
頭を鷲掴みにして俺の方を無理やり向かせると、ジゼル、クソガキは怪訝な顔を見せた。
「まだ、何か用があるのか」
「気に食わねぇんだよ、クソガキが。テメェは敬語を知らねぇのか?
年上、初対面の人間に使う言葉遣いの事なんだが」
「……ハァ、わかりました。大変ご無礼を致したようで、これでよろしいでしょうか、リヴァイ殿」
「ちゃんとつかえんじゃねぇか。クソガキ」
「貴様の方こそ敬語をつかったらどうなんだ?
私とお前は初対面だろう。であれば、敬語を使う対象に私も入っているように思うが。
誰にでも、そのように横柄な態度をとるなど、程度の知れる男だな」
「前言撤回だそっくりそのまま返してやる」
ジゼルは俺の言葉を鼻で笑い飛ばすと、俺の手を払い、食事の済んでいないトレーを持ち上げた。
そして、俺を一瞥すると、エルヴィンへと視線を向け「不愉快だ、先に職務へ戻る」と告げ、席を立った。
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ああ - 名前が反映されません (2023年4月4日 3時) (レス) id: 8d7dc1031f (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:clear | 作成日時:2017年5月5日 21時