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私の寝床は、ベッドから少し離れたところで適当に。という結論に至った。
あとは、リヴァイ兵長が戻るまでは暇を極めるため、1階のキッチンにまで降り、残り少ないが置いてあった薪で火をおこし、すぐ外にあった井戸から水を汲んでくる。
そうして、湯が沸くまで、何を考えるでもなく炎を見つめた。
私が今回ついた位置は、左翼索敵班で、リヴァイ兵長とは少し離れた配置だった。
この村に到着する少し前、奇行種の襲撃に合った左翼側は、少数ではあるがいくらかの死人を出してしまった。
襲ってきたのが、ちょうど私の場所だったら、死人なんか出ずに済んだはずだ。
そんな不毛な考えを始めると、胸が苦しくなりそうで、慌てて頭を振り考えを振り払った。
荷馬車から食料と一緒に下ろしてきたポットに沸いた湯をいれて、ランタンにも新しく火を灯す。
奥のほうから、何人分かの足音が聞こえてくる。きっと、今会議が終わったのだろう。
火を消してから、食料やポットの入った籠とランタンを持って階段を上がった。
換気のために未だドアが開いたままの部屋に入れば、月明かりに照らされた部屋の中、リヴァイ兵長が窓枠に腰けていた。
私が入ってきた気配を感じ取ると、ゆったりと私のほうを振り返る。
「どこ行っていやがった」
「荷馬車から荷物を下ろしてきたんです。まだ、何も食べていないでしょう?」
籠を持ち上げて見せると、納得したように頷いて、また窓の外に視線を向けた。
私は、リヴァイ兵長の近くにより、ベッドのふちに腰かけると、籠をベッド横にあった、背の低い箪笥の上に置いた。
「ついでにお湯も沸かしてきました。……お茶、お淹れします」
「気が利くじゃねぇか」
「暇でしたからね」
野営にはティーセットなんて気の利いたものはない。ポッドのお湯に直接茶葉を入れ、しばらく待ってから、マグカップにお茶を注ぐと紅茶のいい匂いが部屋に広がった。
湯気を立てたマグカップを渡し、自分のマグカップにも紅茶を注いだ。
窓は開け放たれたままだが、自分の分の紅茶をいれている間に、リヴァイ兵長が、部屋のドアを閉めてくれた。
そして、窓枠に座りなおすと、一口紅茶を啜った。
「相変わらず、美味いな」
「ええ。普通のノーブランドティーですが、この変わらない味が私も気に入っています」
「……紅茶もうまいが、俺が言いたいのは、お前の紅茶の淹れ方の話だ。クソガキ」
「そ、それは失礼しました。お褒めに預かり光栄です」
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ああ - 名前が反映されません (2023年4月4日 3時) (レス) id: 8d7dc1031f (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:clear | 作成日時:2017年5月5日 21時