【リヴァイ】残酷で美しい世界に【進撃の巨人】 (ページ26)

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＃22 ページ26

「一口飲んでみるか」

「いいんですか?」

「よくなかったら、こうしてお前の目の前にカップを突き出したりはしない」

「ありがとうございます。いただきます」

ジゼルはそういうとティーカップを口に運んだ。
すると、かすかに目を見開いた……気がする。一瞬目が輝いたような気がしなくもない。

「これも、全然違う味で美味しいですね…。
柑橘系の香り…さっぱりしていて、とても美味しいです。ありがとうございました」

スッと俺のほうへカップを返すと、次はパイを食べ始めた。
綺麗な食べ方だが、やはりどこかガキっぽかった。

小さい声で「美味しい」と言いながら黙々と頬張るジゼル。
ローズティーと交互に食べる姿を見ながら、俺はゆっくり紅茶を楽しんだ。

「ごちそうさまでした。ですが、本当に良かったんですか?私、一円も出してません」

「ハァ?……掃除の礼だと言ってるだろうが。お前も大概しつこいやつだ」

本部に戻ってきてもごねるジゼルに大きくため息をつき、頭を掻き交ぜるように撫でた。
何回言っても無駄だということをそれで察したのか、ジゼルは「すみません」といって大人しく撫でられていた。

　 ***

「リヴァイ。最近ジゼルとはよくやっているようだな。
……アイツはあまり顔には出さないが、お前に対して雰囲気が柔らかくなった」

「知らねぇよ。いつだったか、アイツに掃除を手伝わせた礼をしてやったからだろ」

それは、何となく俺も気づいていた。
前よりも、少し角の立つ性格が丸くなったような気はしていたのだ。

「そうだろうか?まぁ、そういうことにしておこう」

たまたま本部ですれ違ったエルヴィンと言葉を交わし、仕事に戻る。
途中、ジゼルの姿を見たが、壁外調査後、仕事を延々ため込んでいたハンジの手伝いに追われているようだ。

＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿844年編・完＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿

この時、次の壁外調査まであと2ヶ月。

だが、その壁外調査で、調査兵団が出払った後、何の予兆もなく、100年の安寧は破られた。

多大な犠牲を出しながら、人々はウォール・マリアを放棄し、生存領域をウォール・ローゼまで後退させた。