65スレ目『苦労人少年と雰囲気』 ページ24
「んん、そうね……」
実渕が少し考えるように、手を頬に当てた。仕草まで乙女らしい。
そして何か語りだした。
「バージンは、愛する人へ捧げるたった一度のプレゼント。それを無理矢理奪うなんて、乱暴なことはしたくないわ」
そ、そうなのか……?
「じゃ、じゃあ襲わない?」
高尾が不安そうな表情で伺った。
その様子を見て、実渕が申し訳なさそうに微笑む。
「ええ、もちろん。……すっかり怯えさせてしまって、ごめんなさいね。私も少しふざけすぎたわ」
「う、俺もなんか、怯えすぎたっていうか、なんていうか」
「じゃあ僕に謝って下さい。君に強く掴まれた右腕が非常に痛いです」
「わっ、わりい……」
「……別に構いませんよ。貴方達が和解したならしたで、それで」
「……」
なんだ、このチーム。まとまろうと思えばまとまれるじゃねえか。
少し苦しかった空気が、和らいだのを感じる。(そこまでシリアスな雰囲気では無かったが)
安堵の息をつく。これなら……。
「ほら、和解したんならさっさと行くぞ。……早くしねえと、」
「大丈夫よ高尾ちゃん!高尾ちゃんのバージンは私が守ってあげるわ!」
「いいッス!そこまで面倒かけられないんで!」
「いいんじゃないんですか?一日くらい。減るものじゃありませんし」
「黒子まで何言い出してんの!?俺の本命は真ちゃんだから!」
「……」
……本当に大丈夫なのか。
よくよく考えれば、高尾も少しおかしいわけで。どこかうちのワンコと似ている。なんか、ソッチの雰囲気が少し……いや、かなりする。
そんな雰囲気が、全体的に感じる。
……つまりはそういうことだ。
「けど、怖気ついてもいられねえ。他の奴らに負けるのは嫌だからな……」
いくらゲームとはいえ、勝負は勝負だ。勝ちたい一心で進んでいる。
いつまでも駄弁っている3人に声をかけた。
「……早く行くぞ。もし、“手遅れ”なんてなったら……」
「ああ、そうですね。司令は……」
一枚の紙に目をやる。一見すると痛い言葉だらけで理解不能だが、黒子が難なく解読してくれた。
その内容は、『狼から赤ずきんを守ること』。
このゲームは、どうやらおとぎ話がモチーフとなっているらしい。
「もしかしたら、狼は本物かもしれませんね」
「ひゃー、それってまずくない?下手したら死ぬって」
「……征ちゃんならやりかねないかも」
異様な緊張感が漂う中、
茂みの中から物音がした。
66スレ目『苦労人少年と出会い』→←64スレ目『苦労人少年と守るべきもの』
121人がお気に入り
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
真鶴 - お久しぶりです!学校のこととかで返信おくれて本当にすみません!私のまわりはけっこう腐の子多いですよww (2015年12月12日 20時) (レス) id: 9111b365ad (このIDを非表示/違反報告)
まこちー。@元:檸檬♪(プロフ) - お知らせ:もうそろそろ一気に更新します〜。明日か明後日くらいかな? (2015年12月12日 1時) (レス) id: 938da080e1 (このIDを非表示/違反報告)
ハク - 赤司君何やってるの((((゜д゜;))))って思った私は悪くない!(キリッ)こちらこそ遅れてすみませんm(_ _)m私の周りには黒バス好きな人いないんですよ〜腐女子的な意味でwww (2015年11月23日 21時) (携帯から) (レス) id: 68cf70fc9b (このIDを非表示/違反報告)
まこちー。@元:檸檬♪(プロフ) - 涼花さん» コメントありがとうございます〜(^o^) 応援嬉しいです!身にしみます……!これからも亀更新になりがちですが、頑張ります!ε≡≡ヘ( ´Д`)ノ (2015年11月22日 19時) (レス) id: 938da080e1 (このIDを非表示/違反報告)
涼花 - 面白いです!これからも頑張って下さいね〜! (2015年11月22日 9時) (レス) id: c34fb149ec (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:まこちー。 | 作成日時:2015年4月12日 15時